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仲間に入れてという俺の言葉は伊野ちゃんにとっては意外だったらしく、また困った顔をしてしまった。
「…俺に付き合ったってつまらないと思うけど。それに家族はいいの?」
『大丈夫だよ。』
家族には謝れば済むことだから。
それよりも伊野ちゃんが普段何をしているのか知れることの方が今の俺にとっては大きい。
「…じゃあ行こうか。」
そう言うと、伊野ちゃんは先ほど入ろうとしていたビルに背を向けて違う方向に行こうとしていた。
『伊野ちゃん、このビルに用があったんじゃないの?ここ入ろうよ。』
「えっ…うん…。」
明らかに伊野ちゃんは俺と一緒にこのビルに入ることに動揺している気がした。何かこのビルに秘密があるのだろうか。
「ここら辺でいいかな。」
『えっ、ここで何するの?』
伊野ちゃんに連れてこられた場所は、2階と3階の中間にある非常階段の踊り場だった。
「んー…散歩に意味なんか無いよ。だからつまらないって言ったでしょ?(笑)」
『つまらなくなはいけれど…』
「…」
伊野ちゃんは外の方を眺めていた。
俺は伊野ちゃんの視線の先に何が映っているのか確かめたくて隣に立った。
伊野ちゃんと一緒に外を眺めてみたけれど、外を歩く人は疎らだし、目の前にある建物の二階のカフェには、平日の昼過ぎの時間のせいか俺から見える限り、女性が1人いるだけで何も面白いことなんて無かった。
『ねぇ、何見てるの?』
どこにでもある普通の風景に、俺は堪らず答えを聞いた。
「うーん…ただボーッとしてるだけ。」
伊野ちゃんはそう言って、最近買ったスマホを弄りだした。
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ゆっけ(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます。拙い作品ばかりの中、全作品読んでいただきありがとうございました。次回作も読んでいただけるよう頑張ります!ありがとうございました。 (2018年11月26日 20時) (レス) id: 6c38319326 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ゆっけさん、完結おめでとうございます。とても大好きな作品でした。全作品とても大好きです。またやまいのに出会えることを心から楽しみにしています。 (2018年11月24日 21時) (レス) id: 15bd49f13c (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - けーとさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで本当に嬉しい限りです。次回もけーとさんに楽しんでいただけるか分かりませんが、またお会いする機会がございましたらよろしくお願いします。 (2017年11月19日 23時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
けーと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いっつも楽しみに読ませていただいてました!!ものすごくどきどき、ハラハラしました!また、他の作品でも期待してます! (2017年11月19日 17時) (レス) id: 2633a3dd45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!本作品を楽しんでいただけて嬉しい限りです。拙い文章ですがやまいのの今後を楽しみにしていただければ幸いです。私も翠さんの作品更新を楽しみに待ってます。 (2017年10月30日 21時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっけ | 作成日時:2017年8月11日 0時