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「はい…どうぞ」
『ありがとう。』
山田はお茶を出してくれると、俺の目の前にある1人がけのソファに腰を掛けた。山田が下を向いているのをいいことに、山田の顔を見つめると表情が少し強張っており、俺はより緊張をしてしまった。
この空気感に耐えられず、俺は早く山田に黙っていたことを謝って、さっさと家に帰って泣こうと決めた。
『あの、…俺に好きな人ができたこと…光から聞いたんだろ…?』
「あぁ…そうだね。」
山田はずっと下を向いていた。
山田が好きだから言いたくなかった。
でもこれが最後…
『ごめん。』
「…」
『黙ってたわけではなくて…伝えるタイミングを逃してただけだから。』
「…」
俺が山田への想いを黙っていれば一緒にいられる、そんな浅はかな気持ちと山田を好きな気持ちが溢れでてしまい、周囲を巻き込んでしまった俺の責任。
『本当は山田に1番に伝えるべきだったのに言わなくて本当にごめん…。』
「…」
『…今まで、色々とあったけれど…今回は本当に好きなんだ。だから山ちゃんも安心して…』
ごめんな知念。
俺は山田に好きとは言えない。
これで俺たちの仕事以外の共通点は無くなったのだ。
さようなら。
山田がずっと下を向いてくれたから、俺はちゃんとお別れを言うことができた。
やっぱり恋なんてしなければ良かった。
どうして俺は普通の恋愛が出来ないのだろうか。毎回苦しい思いしかしないのにまた同じ過ちを繰り返してしまう。
「なぁ…その人とは、もう付き合っているの…?」
ずっと沈黙を守っていた山田はゆっくりとした口調で喋り掛けてくれた。
『えっ…ううん、付き合ってない。』
付き合うなんて夢のまた夢の話。
「そっか…」
『…』
「…好きになった人が本当に伊野ちゃんのことを好きになってくれるよう、俺は祈ってるよ。」
『…ありがとう。』
好きな人は山田だよ。
俺の幸せを願ってくれる山田の笑顔に俺は胸が痛くて仕方なかった。
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ゆっけ(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます。拙い作品ばかりの中、全作品読んでいただきありがとうございました。次回作も読んでいただけるよう頑張ります!ありがとうございました。 (2018年11月26日 20時) (レス) id: 6c38319326 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ゆっけさん、完結おめでとうございます。とても大好きな作品でした。全作品とても大好きです。またやまいのに出会えることを心から楽しみにしています。 (2018年11月24日 21時) (レス) id: 15bd49f13c (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - けーとさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで本当に嬉しい限りです。次回もけーとさんに楽しんでいただけるか分かりませんが、またお会いする機会がございましたらよろしくお願いします。 (2017年11月19日 23時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
けーと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いっつも楽しみに読ませていただいてました!!ものすごくどきどき、ハラハラしました!また、他の作品でも期待してます! (2017年11月19日 17時) (レス) id: 2633a3dd45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!本作品を楽しんでいただけて嬉しい限りです。拙い文章ですがやまいのの今後を楽しみにしていただければ幸いです。私も翠さんの作品更新を楽しみに待ってます。 (2017年10月30日 21時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっけ | 作成日時:2017年8月11日 0時