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決して時間が経てば両思いになれるとか甘いことを思っていたわけでは無い。
でも伊野ちゃんが恋をするまでの間、少しだけ一緒に居られることができたらと、そう思っていた。
それがこんなにも早く離れなくてはいけなくなってしまうなんて。
「山ちゃん、この日休みなんでしょ?」
『ん?…あぁ、そうだね。』
今日はJUMPでの仕事の日で、空き時間に伊野ちゃんがスマホでスケジュールを俺に見せながら話しかけてきてくれた。
本来ならすごく嬉しいことなはずなのに、こんなに苦しいのは何故なのだろうか。
「俺も休みなんだ。山ちゃんち行ってもいい?」
『えっ…あっ、その日は…』
どうしよう。
ついにこの日が来てしまった。
「予定入ってた?」
ニコニコと俺に話しかけてくる伊野ちゃん。
ごめん、その日は会いたくない。
まだ俺は伊野ちゃんを離したくない。
『その日は先輩と出かける予定なんだ…』
「…」
『…ごめん』
「そっか、…残念。山ちゃんのご飯食べられると思ったのに。」
伊野ちゃんの少し悲しそうな声が俺に罪悪感を募らせる。
『…本当にごめんな。次はおいしいご飯作ってあげるからさ。』
「うん、分かった。楽しみにしてるね。」
伊野ちゃんの言葉で改めて復活した俺たちの約束事。恋をしたら離してあげる、その約束に1番縋り付いているのは俺だった。
以前、好きな人にプレゼントを貰ったとヒカが言っていた。もしかしたら伊野ちゃんのことだから、既に付き合っているのかもしれない。
その報告を受けたら伊野ちゃんが俺の部屋へ来る理由がなくなってしまう。
俺が自分の気持ちにもっと早くに気づくことが出来ていたなら、あんな約束しなかったのに。
こんな風に伊野ちゃんから逃げ回ってバカみたいだ。
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ゆっけ(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます。拙い作品ばかりの中、全作品読んでいただきありがとうございました。次回作も読んでいただけるよう頑張ります!ありがとうございました。 (2018年11月26日 20時) (レス) id: 6c38319326 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ゆっけさん、完結おめでとうございます。とても大好きな作品でした。全作品とても大好きです。またやまいのに出会えることを心から楽しみにしています。 (2018年11月24日 21時) (レス) id: 15bd49f13c (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - けーとさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで本当に嬉しい限りです。次回もけーとさんに楽しんでいただけるか分かりませんが、またお会いする機会がございましたらよろしくお願いします。 (2017年11月19日 23時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
けーと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いっつも楽しみに読ませていただいてました!!ものすごくどきどき、ハラハラしました!また、他の作品でも期待してます! (2017年11月19日 17時) (レス) id: 2633a3dd45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!本作品を楽しんでいただけて嬉しい限りです。拙い文章ですがやまいのの今後を楽しみにしていただければ幸いです。私も翠さんの作品更新を楽しみに待ってます。 (2017年10月30日 21時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっけ | 作成日時:2017年8月11日 0時