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池の中へと消えていったスマホ。
カッとしてたとはいえ、みんなが見てる前でスマホを投げたのは確実にやり過ぎたと思う。しかも手が滑ったとか訳のわからない誤魔化し方。だからと言って池の中に沈んだスマホを取りに行くつもりはないのだけど。
本当に悔しい。
少しでも伊野ちゃんと距離が近づいていたと思っていた自分が許せなかった。
伊野ちゃんは今、この状況を面白がっているのだろうか。
「えっ、なんで俺謝られてるの?今、石投げただけじゃん。」
『…は?』
伊野ちゃんの発した言葉の意味が理解出来なくて思わず顔を上げると伊野ちゃんはトボけた顔して笑っていた。
もしかして俺は今、伊野ちゃんに庇われているのだろうか。だって俺は確実に伊野ちゃんのスマホを池に投げたのだから。
「山田大丈夫か…?」
「りょ…涼介驚かさないでよー。」
1人で頭の中を整理しようとしていると、雄也と知念が俺の側に寄ってきて頭と背中を撫でてくれた。
俺が伊野ちゃんのスマホを投げたことはきっと周りにいた人は気付いているはずだ。でなければ俺がスマホを投げた時にあんなに慌ててみんなが声を出すわけがないのだから。
『…』
仲間が俺のやらかしたことを周りにバレないように全力で気を使ってくれていることを察して、申し訳なさと伊野ちゃんへの不信感で声が出なかった。
「あの…もう撮影入っても大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です。お願いします。」
スタッフさんの問いに薮ちゃんが返事をしてくれた。
「伊野尾も山田もケンカじゃないんだろ?仕事始めよう。」
そして薮ちゃんは周りのスタッフさんたちに聞こえないよう、俺たちに優しく声をかけてくれた。
「大丈夫だよ。」
伊野ちゃんが何を考えているのか分からない。だけど正常に働いていない俺の頭でもここでムダに撮影を長引かせることになんのメリットもないことが分かる。
『…うん』
俺は小さく頷いて、仕事モードへと切り替えた。
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ゆっけ(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます。拙い作品ばかりの中、全作品読んでいただきありがとうございました。次回作も読んでいただけるよう頑張ります!ありがとうございました。 (2018年11月26日 20時) (レス) id: 6c38319326 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ゆっけさん、完結おめでとうございます。とても大好きな作品でした。全作品とても大好きです。またやまいのに出会えることを心から楽しみにしています。 (2018年11月24日 21時) (レス) id: 15bd49f13c (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - けーとさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで本当に嬉しい限りです。次回もけーとさんに楽しんでいただけるか分かりませんが、またお会いする機会がございましたらよろしくお願いします。 (2017年11月19日 23時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
けーと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いっつも楽しみに読ませていただいてました!!ものすごくどきどき、ハラハラしました!また、他の作品でも期待してます! (2017年11月19日 17時) (レス) id: 2633a3dd45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!本作品を楽しんでいただけて嬉しい限りです。拙い文章ですがやまいのの今後を楽しみにしていただければ幸いです。私も翠さんの作品更新を楽しみに待ってます。 (2017年10月30日 21時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっけ | 作成日時:2017年8月11日 0時