・ ページ5
.
誰かの呼ぶ声によってAは目覚めた。
「A!!起きた?大丈夫?悪い夢見ちゃった?」
『み.........ず.....』
『(喉が渇ききってて、喋れない.....体も麻痺ってる...)』
「水?分かった、ちょっと待ってて」
『(目もまだはっきり見えてないし、耳鳴りもまだ続いてて聞こえにくい...でも、あの喋り方と温もり)』
「A、水持ってきたよ、飲める?」
『っ...あ、あ...........』
『(声がっ...!!)』
「ごめんっ」
そう言って水を口に含み、Aの頭を支えてゆっくり近付く。
「...っん」
『んっ.....っんっん.......』
口移しで水を渡してきた。
『えほっげほっ!!.....はぁ.......』
「A?大丈...えっ」
突然首に腕を巻き付き、しがみついた。
『ごわ゛か゛っだっ!!.......じぬ゛かどおもっ゛だ.....』
呪術師やってて、初めて死を感じた瞬間だった。Aもまさかこんな所でそれを感じるとは思って無かったため、少しパニックになっていた。
「A...泣いてる.......?」
『う゛ん...っ...』
完全に4歳児の返事だった。
『おねえぢゃ゛ん゛.........おねえちゃん...』
「大丈夫、僕が着いてるから。ね?怖くなーい、怖くなーい!」
赤子をあやすようにして、背中をトントンと叩きAを落ち着かせる。
「落ち着いた...?」
そう言って、まだ目に溜まっていた涙を拭う。
『うん...ごめん』
「こら、謝らないの。」
『だって...迷惑掛けたし、見苦しい所見せちゃったし』
「全然迷惑じゃないよ。見苦しくもないし。寧ろ、もっと弱いところ見せて、頼って欲しいって思ってる。だから、謝罪よりも感謝の言葉が聞きたい」
『...あ、りがと』
「うん、よく出来ました!」
頭を撫でて、カラッと微笑んだ。
「あれ、顔赤くなってるよ?熱でもある?泣いた影響?」
『あっ...これは違うっから!』
『(何でもないよ...)』
178人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ルナ | 作成日時:2023年8月22日 2時