願う ページ28
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『っ........あれ、何処だここ』
「A」
『お姉ちゃんっ...なんで』
「Aの頑張り、上から見てたら伝えたくなって」
『何を?』
「頑張ったね、Aは自慢の妹だよ」
優しく温かく包み込んで、頭の上からとびきりの褒め言葉が降ってくる。
「お姉ちゃん...っ.......」
数秒だった気がした。
「それじゃあ、私行くね」
『待って!さと...五条先生と何があったの...!?』
「大丈夫、きっと教えてくれるから」
『親友って...?』
「あの子はいい子だから、仲良くね」
『.......っごめんなさい!私、お姉ちゃんを裏切って』
「...2人幸せになるんだよ!!私が出来なかったこと沢山経験してから、また会いに来て!」
ずっと何時もの姉ではなかった。でも、最後の最後に何時もの姉に戻った。
『待っ........』
『(まだ、あったかい......)』
姉が離れても、Aの体は優しい温かさが残っている。まだ、独りでは無いことを示すかのように。
『っ.....!!』
「Aっ!...はぁ、良かった...目覚めたんだね」
『(悟くん...)』
「良かった...ほんと良かった...あ、起き上がる?」
『わたし...いきてたんだ』
生きている実感を少しでも湧かすため、掌を握ったり開いたりを繰り返す。
「ほんと危なかったんだよ、硝子の治療が遅れてたら。」
『私、何時もと違う戦い方したの。そしたら、楽だった。身体も小さくなってないし。だから、可能性に委ねるってワクワクするね』
「....そっか。また一つ大人になったんだね」
「A。..........抱き締めてもいい?」
Aは少し考えたあと、こう答えた。
『駄目』
「...そうだよね。」
『私がする』
そう言って、横に座っていた五条を引っ張ってベットに座らせた。
何時もの正面ではなく、肩と腕にAの体を押し付け、もう片方の肩まで両腕を伸ばす。横ハグ、と言うのだろうか。
「僕の彼女、イケメンすぎ」
『肩幅ひろーい』
2人なりの仲直り、なのかもしれない。
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作者名:ルナ | 作成日時:2023年8月22日 2時