矛盾の生じ、破壊 ページ21
.
そして、取り残された2人。
『ねえ、悟くん........さっきの、嘘だよね!悟くんがお姉ちゃんのこと殺すわけないもんね!愚問だった!ごめん!』
立ち上がって、さっきの事を忘れようとするA。
『あーなんかお腹空いちゃった、ねえどっか食べ行こうよ!』
「A」
『ん?どうし.....んっ....』
名前を呼ばれ、五条の方へと振り向けば急にキスをされた。
『っ...だめ........ここじゃだめだよ』
「A、僕...ちゃんとAのことが好きだよ」
『...うん、私も』
「これからも、この気持ちはずっと変わることはない」
『う、ん...嬉しいよ...』
「好きだよA。ずっと好き、好きだから...だから」
好き、という言葉を繰り返した分だけ強く腰を背中を抱いた。
「今はまだ、何も聞かないで」
『(ああ...そうか。そういうことか)』
隠された言葉の内側全ては分からないけれど、直感した。
『(何か...あったんだ。なんで、隠すのかな...私彼女なんだけどな。しかもそのお姉ちゃんとの間の事とかさ。......)』
考えるな。何も考えるな、考えれば考えるほど馬鹿になってしまうから。
考えるな。思考するな、何も思うな、気付くな、推測もするな。
仮想も思想も空想も、妄想も理想も予想も全て忘れろ。
ただ黙って抱き締められていろ。
そう思っている時点で、考えるという行為に支配されている。
頭のいい彼女は、馬鹿な思考が止まらない。
『(.........なんで、1番に悟くんの事を考えられないのだろう。)』
『ごめん馬鹿で。』
軽く突き放して五条から離れた。
「Aっ.....」
『じゃあ、またね』
1人で部屋から出て行った。
『(こんなこと、忘れてしまえばいい。記憶を消せばどうでもいい話ですら無くなる。望んだ上、記憶を消す事は可能だし難しくもない。とても簡単。ただ、やりたくないだけ...)』
『消したく、ない...』
望んで無い、重りがまた1つ増える。何時かは下ろせると信じて背負った。
Aが通り過ぎた後の廊下は、斑点模様状に濡れていた。
178人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ルナ | 作成日時:2023年8月22日 2時