フレッド・ウィーズリー２ ページ40
「舐めてかかって後悔させられたのは僕の方だったよ。……しかも、あんなに威力が強そうな雰囲気を出していたのにダサいだろ？僕は、これまでの人生で勝負に負けたことがなかったんだ。敗北なんて二文字は、僕とは無縁だと思ってたよ。本気でだ」
「……それはおめでたい頭ですね。それで、結局何が言いのですか？」
レイラにはフレッドが言おうとしていることが全く読めなかった。
「まあ、最後まで聞けよ。要するに、僕は自分を優れたた人間だと思ってたのさ。けどその思い上がりも、シュタレインの授業で君と対決するまでだった。僕は本気をだしていなかった。本気を出さなくうても負けるはずなんてないって思ってた。グリフィンドールの男子である僕がスリザリンの女子生徒の君に負けるはずないと。でも実際に、あっけなく君に敗北して気づいたんだ。仮に僕が本気で挑んでいたとしても負けていただろうと。僕は天才なんかじゃない」
「…………」
「そして、僕はあることにも気づいた。君は僕以上に本気の半分も出していないってことに。君と僕の間には、圧倒的な差がある。僕が何度勝負したって、絶対に勝てっこない力の差だ。だけど！それは、今この時点の話だ。僕は……僕は、いつか君を追い抜いてみせる」
そう言ってフレッドは悔しさを紛らわすように不敵に笑った。
「今の君は僕を負かしたことなんて、何とも思っちゃいないだろう。けどいつかもう一度勝負して、僕を負かして火をつけたことを、必ず後悔してもらうよ」
フレッドはビシッと指を突き出し、真剣な表情で言い切った。
レイラは驚いていた。フレッドがまさかこんなことを言うとは絶対に有り得ない、思ってもみなかったからだ。
圧倒的な力の差を見せれば、黙らせることは出来るだろうとは考えていただが、局負けたことにあーだこーだ理由をつけ、自らの傲慢をつき通すのだろうと。そう思っていた。
まして、敗れた相手の前で自分の負けを認め、決意をわざわざ告げに来るなど。
青臭いにもほどがある行動だ。もしレイラがフレッドの立場だったなら、絶対にそんなことはしない。陰で努力し、技を盗み、勝手に高みへの踏み台に利用するだけだ。わざわざこんな宣戦布告のような事はしないし、まして敗れた相手に自分の思いや決意を馬鹿正直に伝えるなど有り得ない。
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作者名：尾崎紅葉 | 作成日時：2021年2月22日 9時
