闇に対する防衛学の授業３ ページ36
「痛って……フレッド！お前、力加減っていうもんを知らないのか！杖どころか俺まで吹っ飛んだじゃねえかよ」
「ごめんごめん。ちょっと勢い余っちゃってね」
「貴様ら！一体今のは何だ？」
シュタレインが慌てたそぶりもないフレッドに、険しい顔で問う。
「すみません、先生。ちょっと僕の『武装解除呪文』が強すぎたみたいです」
調子良く答えたその台詞に、シュタレインは少し驚いたような表情で言った。
「お前、もう『武装解除』が出来たのか？」
「ええ、まあ」
「ほう……しかも、今のあの威力でか。ふむ……」
何やら考え込んでいるシュタレインにフレッドは加点を期待のこもった目を向ける。
他のグリフィンドール生も大半は彼と同じくシュタレインに期待のこもった目を向ける。逆にスリザリン生は悔しそうな表情でシュタレインを見つめていた
だが、彼が次に発したのは、フレッドの功績に対する加点の言葉ではなかった。
「そこの女子！白銀色の髪で垂れ目の君だ。黒髪の女の子と組んでいる。ちょっとこっちへ来なさい」
その言葉に、フレッドはどういうことだと言わんばかりの、驚きと怒りが入り混じった顔をした。
私も首をかしげながら渋々彼らの方に近づく。
「君も先程『武装解除』を成功させているのを見た。こんなに早々と呪文を取得する生徒が二人もいるとは珍しい。いやなに、君達には皆に手本を見せてもらおうと思ってな」
フレッドが私の方を見て、忌々しげに舌打ちした。
そんなフレッドを他所に、シュタレインは更にまた考え込むような表情を見せた後、ニヤリと笑って言った。
「いや……せっかく二人いるんだ。どうせなら、戦ってもらおうか」
その言葉に、生徒たちから興奮したどよめきが起こった。
「どうやってですか？」
フレッドが挽回のチャンスだと言わんばかりのやる気に満ちた表情で聞いた。
「なぁに、ズバリ決闘だよ。といっても、形だけだがね。本来は呪文がある程度使えるようになってから教えるんだが……。まあいいだろう、せっかく優秀なのが二人もいるんだ。ここで教えておくのも悪くない」
決闘、というワードに生徒達の興奮は更に高まった。特にグリフィンドールの男子達から興奮した囁きが聞こえてくる。
「さあ、壇上に上がって。両者がそれぞれ両端に立つんだ。ああそうだ、この疑似決闘で勝った方には、寮に初回ボーナスで100点やろう。」
『100点』一気に寮杯獲得につながる高得点に皆ざわめいていた。
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作者名：尾崎紅葉 | 作成日時：2021年2月22日 9時
