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NOside

「総員館内へ退避!」

第一便のヘリが飛び去って三十分、いよいよ持ちこたえられなくなってきた。

裏門に配置されていた堂上と小牧は、現場指揮官の指示に従って表に配置されていた隊員の退避を援護していた。
基本的に少人数半割り特務部隊は、全体作戦時にはキャリアや指揮能力を考慮して班長クラスの中から各拠点の指揮官を設定し、他班の班長もその指揮下に入る。

今年部下を持ったばかりの堂上が指揮される側に回るのは当然だった。
狙撃半の応援に回った手塚のように、同じ班でも適性によって配置を分割されることもままある。

図書隊の人員運用はよく言えばフレキシブル、悪く言えばいい加減さが特色だ。

後退するときでも良化部隊の攻撃に容赦はない。
被弾者を増やすことで確実にこちらの戦力を削ぎにくる。

対して専守防衛を徹底することが旨の図書隊は、敵の後退を妨害しないことが原則となっているが、実戦時にその制約は不条理だという不満も現場からはたびたび上申される。

図書防衛権を戦闘拡大の手段にしてはならない、日頃の稲嶺の訓戒は堂上も理解するところだが、こんな時はさすがにその制約が恨めしくなる。

───────────────────────
堂上side

一人の隊員がバリケードから飛び出したとき、遅いと思った。
比べた相手が脳裏を横切ったとき、案の定と言っては悪いが隊員が館内にたどり着く前に敵の銃弾に捉えられた。

転倒した瞬間は被弾位置がわからなかったが、その後立てないところを見ると足のようだ。

良化部隊もさすがに被弾した者を重ねて売っては来ないが、転倒した隊員の頭上には容赦なく銃弾が行き交う。

「小牧、頼む」

使っていた小銃を置いてヘルメットを被り直すと、

「行けるのか」
と短く小牧が訊いた。

「チビのほうが被弾面積が小さい」

そう詰った相手を小牧も思い出したのか、小さく笑った。
そして無線に叫ぶ。

「堂上二正が回収する!援護射撃用意!」

号令の代わりに小牧が撃った。
続けて図書隊員側の銃声の密度が一気に上がる。
その音に背中を押されるように堂上は出入口を飛び出した。

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設定タグ:図書館戦争 , 小牧幹久 , 小説沿い   
作品ジャンル:恋愛
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オムライス(プロフ) - 田中圭くんにハマって一気に読みました!続き楽しみにしてます! (2020年9月26日 8時) (レス) id: 3df1040212 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミブー - 楽しく拝見させて頂いています!大変かとは思いますが、続きを期待しています!応援しています! (2020年6月4日 4時) (レス) id: b581b337c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きぃ太 | 作成日時:2019年9月22日 9時

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