図書館戦争 初めての気持ち3

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『情報歴史資料館』が良化特務機関の部隊に包囲されたのは午前九時───平時の開館時刻でもあり、野辺山グループが資料を関東図書隊に移譲するとした時刻でもある。

その時間が開戦時刻となることは、良化特務機関が事前に周辺地域へ手配した交通規制措置から予測できていた。

一方、図書隊のUH60JAが十時に図書基地を飛び立ち、十時三十分に『情報歴史資料館』へ到着の予定であることも、航空交通管制局へ提出したフライトプランによって良化特務機関に把握されているだろう。

まずは、輸送第一便の到着までが攻防のやまである。

「“これより関東図書基地側に良化第7726号の書面によって通告したとおり、メディア良化委員会・小野寺滋委員長の代理として、良化法第三条に定める検閲行為を執行する！
諸君ら関東図書隊は即刻武装を解除して投降せよ！”」

良化機関側の部隊長がスピーカーで代執行宣言をがなる。
検閲の現場が『情報歴史資料館』であるにも関わらず、通告文書は図書基地へ。
少しでも不意を打とうとするやり口はいつものとおりだ。
正面玄関で待ち受けていた玄田は不敵に笑って放送機材のマイクを取り上げた。

「“関東図書隊は図書館法第四章・図書館の自由第三十四条に基づき、ここに図書防衛権を発動する！
検閲を執行したくば力ずくでやってみろ！”」

必要以上に挑発的な答申で『情報歴史資料館』攻防戦の幕は開いた。

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