一緒に帰ろう 水 ページ6
帰りのHRが終わり、教室に元気な声が響く。
「じゃ、ばいばーい!」
「ばいばーい!」
自分の友達に挨拶を済ませ、引き出しから最近の悩みの種である課題を出す。
そう、今日は教室に残らねばならないのだ。
なぜなら…………
時刻は1時ぐらい。
お昼ご飯が食べ終わり、友達と談笑していた頃。
「先輩っ!!!」
と、少し幼く感じるくらい、元気な声が響く。
直後、ドタバタドタバタと大きな足音が聞こえてくる。
誰か怪我してないだろうか?
「ほらほら、彼氏くん探してるんじゃないの??」
にやにやと背筋が凍るような笑みを浮かべる友人に送り出され、廊下に出て彼を探す。
「あ!!先輩!!!!!」
割とよく来ているはずなのに、何故いつも迷うのだろうか?
そんなお茶目なところに少し笑いを浮かべながら駆け寄ってくる彼を見つめる。
「こさめくん?」
自分の唇に右手の人差し指をあて、小さい子にするように、静かに、の合図をする。
そんな私を見ながら自分の口をパッと両手で塞ぐ。
本当に元気だなあ。
「先輩っ!」
「なあに?なんかあった?」
私に注意されたことを気にしているのか、少し小声で問いかけてくる。
「今日!委員会なくなったんです!!
一緒に帰りましょう!!!」
小声だったはずの声は徐々に大きくなり、先程まで口を塞いでいた両手でぎゅっと私の手を握る。
「うん、うん?」
「だから!今日一緒に帰りましょう!!って!!!」
「うんうん、分かった。今日時間一緒なんだ?」
「そうですよ!委員会なくなったから!!
一緒になったんです!!!」
珍しく帰りの時間が被ったらしい。
年が一つ違い、私は部活、彼は委員会に所属しているせいで滅多に一緒に帰れることはない。だから誘いに来たらしい。
「うん、分かった。
一緒に帰るからちょっと落ち着こうか??」
「ほんと?約束ですよ??」
「うん、分かったから。約束ね?」
「はいっ!」
キーンコーンカーンコーン
と、いいタイミング (?) でチャイムがなる。
「こさめくん、予鈴なったよ?教室戻ろっか??」
「はい! 分かりました!!」
元気よく返事をした彼は自分の教室へと走り出す。
すると、急ブレーキをかけ走るのをやめた彼は再びこちらへ向かってくる。
「先輩、こさめが迎えに行くんで、ぜっっったい教室から出ないで下さいね?」
_____
続きます
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作者名:ゆう | 作成日時:2023年11月16日 17時