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おうちえいが 続き ページ33

「ふふふっ、」

後ろから聞こえてくる声を抑えた笑い声。

何か面白い展開だったのか、と気になって正面のテレビ画面を見つめる。別に何も面白いことはやっていない。
感動的なラストシーンだ。 不思議に思って彼の方を振り向く。
すると右手で口元を押さえながら、左手で弱々しく何かを指さすみことくん。
その指先を辿ると…

「あ゛」

みことくんが指さしているのは私が持っているコップだった。
そのまま流れでテーブルの上のコップにも目を向ける。

逆だ。

私が持っているのはみことくんのコップで、テーブルの上にあるコップが私のものだ。
呆然としていると横から彼が揶揄ってくる。

「間違えちゃったねぇ笑可愛いねぇ笑」

いつもより少し高い声で、からかいの言葉を口にするみことくん。
私に言い返せる言葉は何もなくクッションを口元に当てながらじとーっと睨む。
すると一度息を吐いた彼は更に笑みを浮かべ、ぐっとこちらに近づく。

「間接キス、だね?」

先ほどの揶揄っている声とは違い、低く、それでいて甘い声で囁かれる。

「んなっ!」

ガバッと起き上がり、手に持っていたクッションを彼の顔目がけて思いっきり投げつける。

「うわっ!やめてよぉ!」

と言う悲鳴が聞こえた後、さてどうしてやろうか、と思考を巡らせる。
その間にクッションを顔に押し続けることは忘れない。

「ねーえ!とって!!」

彼の力なら絶対に取れる弱い力で押さえているのに無理やり取らないところから彼の優しさが滲み出ている。
左手でクッションを押し付けながら彼の前まで移動し、ギリギリまで顔を近づける。
右手を彼の頬に添え、パッとクッションを退ける。

「もぉ、やっとやn……っ!?」

クッションを退けた途端に更に顔を近づけ、勢いよく彼と唇を合わせる。
ちゅ、と言うリップ音を響かせた後、勢いよく部屋から逃げ出す。
去り際に見えた映画はもうエンドロールで、ほえ?と言う彼の腑抜けた声が背後から聞こえてきただけだった。


_____

みことさん おうちえいが
お読みいただきありがとうございましたm(__)m

大切な日 桃→←おうちえいが 黄



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作者名:ゆう | 作成日時:2023年11月16日 17時

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