おうちえいが 黄 ページ32
「なぁなぁ!映画見よーや!」
ニッコニコの笑顔で話しかけてきたのは、彼氏であるみことくん。
手に持っているのは少し前に流行っていた恋愛映画だ。
レンタルされたら見たいって言ってたもんね。
「別に許可取らなくていーよ？
じゃ、私は部屋行ってるねぇ〜」
そう彼に告げ、背中を向けて逃げようとする。が、
「待って!『一緒に』見よーよ！」
がしっ、と手を掴まれる。
「えぇ、私映画好きじゃない…」
そう、よりにもよって恋愛ものだ。
彼が少女漫画とかのキュンとくるものが好きなのを否定する気はない。
でも、私は苦手なのだ。
恋愛ものを恋人と見て何が楽しいのか。
恥ずかしくなるだけじゃん。
「なーあ！お願いやからっ！」
どうしても!と言いガバッと頭を下げる彼。
確かに今回は譲ってもいいかもしれない。
前回のデートでは、『映画を見たい!』という彼の意見と『絶対に見たくない』と言う私の意見が対立した。
別に喧嘩した訳ではない。
でも、理由も言わずに『嫌だ』の一点張りだった私の意見を優先してくれたのは他でもない彼だ。
今回くらい、彼のやりたいことを聞こう。
「分かった。仕方なく、ね。」
そう言った途端、ばああっと顔を輝かせる彼。
おやつを前にした子犬のように瞳を大きく見開いている。
「ありがとう！ちょっと待ってて？準備してくる！！」
慌ただしくキッチンへ飲み物を取りに行く彼。
彼にだけやらせるのも嫌だから、と私自身もキッチンへと向かい、2人で映画を観るためのお菓子や飲み物の準備を始めた。
そうこうするうちに映画も終盤。
私達はそれぞれにクッションを抱き抱え、ソファにもたれかかりながら鑑賞中だ。
映画自体は結構ベタな展開で、多分もうすぐクライマックスだろう。
隣でぎゅーっとクッションを抱きしめながら映画に食い入るように見つめる彼。
そのまま流れで画面に目を向けると、
俳優さん達が互いに手を握り合い見つめあっている。
更に距離を詰めると、今度はにこっと笑った後じーっと見つめ合って…
無理だ。私には無理。
ぷいっと体ごと画面から背け、クッションに顔を埋める。
こうなってしまうから恋愛映画は苦手なんだ。
荒ぶる気持ちをどうにか抑え、近くのテーブルに置いているコップを手に取る。まだ少し熱を持った頬を覚ますようにグイッと残っているカフェオレを飲み干す。と、
「ふふふっ、」
_____
中途半端です。すみません。
次のお話は来週です。
お読みいただきありがとうございましたm(__)m
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作者名：ゆう | 作成日時：2023年11月16日 17時
