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今日くらい 続き ページ25

「こ、これっ…!」

緊張で声が裏返る。

「いるまくんに!いつも助けてくれるお礼!!」

ぐいっと勢いよくいるまくんの方へ差し出す。
怖くなって目を瞑ると急に手が軽くなる感覚。

「これ、今あけていい?」

パッと顔を上げると、ラッピングの袋を触ったり、太陽の方に向けて透かしてみようとしたり。
中身を見ようと試行錯誤している彼が目に入る。
その姿は存外に子供っぽくて思わず笑ってしまう。

ふう、ちょっと緊張解けたかも。

「どうぞ。あけて良いよ。」

そう言うと彼は丁寧にラッピングの紐をシュルシュル解いていく。
すると中から飛び出したのはボールペンとキャンディだ。
すると、先ほどまで楽しそうにしていた彼の動きが止まった。

………幻滅したかな?

実を言うとキャンディは手作りだ。 不得意ながらに頑張ったつもりではあったけど……好みじゃなかったかも知れない。

「苦手だったりしたらごめんね。
 あれだったら捨ててもいいから!」

焦ってそう伝えて朝の準備に取り掛かる。

これはお礼。あくまでお礼だから。

そう自分に言い聞かせて、何とか平静を装う。ふと彼を見るとじっと固まっていて、困らせてしまったことが分かった。

「本当にごめんね。」

もう一度謝ってからそっと目を逸らす。
これで謝罪は終わりだ。もう忘れよう。
そう気持ちを切り替えて、再び授業の準備に取り掛かる。
えーっと今日は家庭あるのか。後ろのロッカーへ教科書を取りに行こうと椅子から立ち上がる。
左手を机について、くるっと後ろをむく。
すると突然、なぁ、と言う低い声と共に左手をぎゅっと囲まれた。
あまりに急なことだったのでビクッと大きく肩が跳ねる。

「なぁ、バレンタインに渡す菓子の意味、知ってるか?」

後ろから聞こえてくる彼の声。
残念ながら表情は見えず、何を考えているかは分からない。
分が悪くなり、ぎゅっと目を限りながらもコクっと頂く。
すると彼はふう。と息を吐くといきなりポケットを漁り出した。

「なら、これ、ホワイトデー、ちゃんと返すから待ってろ。」


_____

いるまさん、お誕生日おめでとうございます。
ささやかですが、お祝いとしてお話を更新させていただきました。
次回は2/29日更新予定です。
少し空きますが、ご容赦下さい。

お読みいただきありがとうございましたm(__)m

追伸
いつもたくさんのハート、お気に入り登録ありがとうございます。とても嬉しいです。
リクエスト、感想等受け付けておりますのでコメントも是非

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作者名:ゆう | 作成日時:2023年11月16日 17時

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