独占欲 赤 ページ21
「なつくん! お誕生日おめでとう!!」
姿勢良く立っていた彼の背後からガバッと突撃して伝える。
そう、今日はなつくんの誕生日なのだ。
普段から悪戯っ子な彼に驚かせれてばかりな私は少しでも驚いてもらうべく、放課後いつも の待ち合わせ場所で彼に飛びついたのだ。が、
「おう、ありがとな。」
と、イケメンスマイルをぶっ放されて終わってしまった。
「ん〜っっ！！💢」
彼に抱きつきながら不満の呻きを漏らす。
違う、もっと驚いて欲しかったのだ。
「なに？どうした？？」
まるで犬にでも話しかけるような甘い声で質問してくる彼。
「いいもん。」
「な〜に〜がっ笑」
クスッと笑った彼にぎゅっと抱きしめられる。
よしよし、と優しく撫でられているうちに、まぁいいか。と思えてきた。
これだからなつくんはずるいのだ。
これから何か驚かせれたら…と考えていると、鞄の中にヤツの存在を思い出す。
そう、プレゼントを持ってきたのだ。誕生日サプライズはまだある。それで驚かせられたら良いのだ。
「ねぇ、渡すものある｡」
彼の胸を軽く叩くとゆっくり離してくれた。
スクバをゴソゴソと漁り、丁寧にラッピングされたものを取り出す。
「これ、プレゼント。」
彼に似合うだろうと思って選んだ赤いラッピングのそれ。
彼の方へそっと差し出すと両手で丁寧に受け取ってくれた。
「え、今開けていい？」
少し目を輝かせ、穏やかに微笑みながら聞いてくる。
早く彼喜ぶ顔が見たいので即OKする。
「いいよっ！」
そう言うと彼はゆっくりと紐をほどき、
その後も紙を破らないよう丁寧に剥がしている。
早く中身を見て欲しいのに。わざと焦らしているんだろうか?って言うくらい丁寧に。と、やっと剥がし終わった彼は、次の箱に入っているのに気づく。
「え、なにこれ笑マトリョーシカ？」
笑いながらう彼に私も笑って答える。
「まぁまぁ!いいからいいから！！」
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作者名：ゆう | 作成日時：2023年11月16日 17時
