約束 紫 ページ14
「ねえ、ほんとに行くの?」
三つ上の幼馴染は高校卒業と同時に、東京へ上京するらしい。なんで置いていかれるかなぁ…
「あぁ、行ってくる。」
大きな荷物を背負い、いかにも。と言う姿でいるこいつ。
「別に一生会えないって訳でもねーし」
「でもさぁ〜」
私は不満たらたらだ。
だって私が上京のことを知ったのは一週間前だ。
いくらなんでも遅すぎる。
「分かった分かった。お前が成人式の時、迎えにくるから。」
成人式は20歳だ。
まだ成人式まで5年もある。遠い。
どーせお盆とか正月とかあるし、それ以外も会えんだろ。
なんてぶっきらぼうに口を聞く。
そういうことじゃないのだ。
不貞腐れたように頬を膨らましていると、大きな右手が私の頭を撫でる。
私、頭撫でられて喜ぶような子供じゃないんだけど。
まぁしょうがないからしばらく撫でられていてやろう。
「あ、新幹線もうすぐだ。」
左手でスマホをスクロールしながらそう言う幼馴染。
「行ってらっしゃい。」
不満しかないけど、一応送り出してやろう。
「絶対、帰ってきてね？」
一応の確認。するとスマホを追っていた目をこちらによこし、
「あぁ、約束。」
なんて小指を差し出してくる。
絶対だよ?とか言いながら指切りをしてもう一度、
行ってらっしゃい。をして改札まで送り出した。
紫髪のでっかいリュックを背負った男がホームへ向かう姿を確認してから、目元の水滴が溢れる前に全速力で家のペットまで走った。
_____
新成人の方、おめでとうございます。
今日は成人式ということで特別更新です。
次の木曜日に続きを更新しますので、それまでお待ちください。
お読みいただきありがとうございましたm(__)m
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作者名：ゆう | 作成日時：2023年11月16日 17時
