新年、明けまして。 黃 ページ12
「間に合った!?」
年越しまであと数分、ドタバタと大きな足音を立てながら部屋に入ってきたみことくん。
その手には電波時計が握られている。
どうしてもカウントダウンをしたい!と言って、彼自身の部屋から持ってきたらしい。
「うん、間に合ってるよ。間に合ってるから、まずはドア閉めよっか?」
彼を落ち着かせるようにゆっくりとした口調で言う。
わ、分かった。とまだまだ慌てた様子で扉を閉める彼。
ふう、これで寒くなくなる。
「こっちおいで?一緒にカウントダウンしよう??」
私の横のスペースをぽんぽん、と手で叩きソファへおいで?と彼に話しかけると、
まだ慌てているけどゆっくり、というなんとも不思議な動きをしていてねってしまう。
ふと時計を見ると年越しまで1分をきっている。
「みことくん!あと1分ないよ!!」
「うええええ!!」
一度落ち着いたのに再び慌てる彼。
どうしてもカウントダウンしたい子供みたいでとても可愛い。
「10、9、8、7、」
ゆっくり、ゆっくり10から数える。
「6.5.4」
みことくんと声を合わせて、一緒に数える。
今年も残り数秒なんだなぁ。なんて考えながら、どんどん進んでいく針をじっと見つめる。
3、2、1」
すーっと息を吸い込んで声を揃えて。
「明けましておめでとう!!!」
みことくんを見上げると、ニコッと笑ってこっちを見ている。
そのふわっとした笑みを見て自然と口角が上がっていく。
「明けましておめでとう!
これからもよろしく!!!」
そう元気よくみことくんに伝えると、彼もさらにふにゃっと笑う。
可愛いなぁ……
「あの!」
急に大きな声を出した彼。
彼は俯いていて、どんな表情をしているか、全く見えない。 すると彼は勢いよく顔をあげ、私と目を合わせる。
その顔はいつになく真剣で、何かあったのか、とこちらも身構える。そうして彼は、今年も……と話を続ける。
「今年も、いろいろ迷惑かけるかもしれない。
けど、今年も俺と一緒にいてくれますか?」
_____
続きます。
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作者名:ゆう | 作成日時:2023年11月16日 17時