お休みの日 緑 ページ1
朝から、大音量の電子音が響く。
起き上がって止めようとするも私のお腹には後ろから手を回されている。
「んん、すちくん離して?アラーム止めらんない…」
お互い寝ぼけながらの会話なのでいつもより、 ワンテンポどころかツーテンポ遅い。
「んん〜やだぁ。俺もうちょっと寝たい…」
そういい、 さらに強く抱きしめられる。
「ちょ、でもとりあえずアラームだけ止めないと……」
彼によって固定された状態でぐっと手を伸ばしてみるけど、微妙に届かない。
もぞもぞと動いたのが気に入らなかったのか、彼は片手を伸ばし、私の携帯のアラームを止める。
「ん、これで寝れる…」
再びウトウトと私を抱き枕にして寝始めた彼に呆れつつも、
上半身だけ抜け出し、もう一度起こそうと試みる。
「ほーら!起きるよ!
やらなきゃいけないこと、まだあるでしょ?」
そんな私に対し、うーんと唸りながら更に強く抱きしめられる。
「やだ。起きない。」
そんな幼稚な返しをする彼はレアで、少し驚く。
普段はきりっとかっこいいのに、今だけは可愛い。
そんな彼を見れるなら、もう少し寝てもいいかな、と考え始めてしまう。
それがいけなかった。
気づいたら私の右手は彼の頭を撫でており、それをみた彼は、布団という名の抜け出せない沼に引き込もうとする。
「ほーら、今日はお休みでしょう? せっかくのお休みなんだからもう少し寝よう？」
ふにゃっと笑い、大きく手を広げてこちらを誘惑してくる。
「だめ起きるの！起きてすちくん！」
だめだ。起きないと。
こちらもこちらでなんとか抜け出そうと少しずつ、彼の手から抜け出そうとする。
するといきなりぐっと後ろに引っ張られ、布団の中に連れ戻されてしまう。
ああ、せっかく頑張って抜け出したのに。
「ほら、大丈夫だからさ、寝よう？
いつも頑張ってるじゃん。 たまには休憩も必要だよ？」
そう背後で囁かれ、急に眠気が襲ってくる
気づいているのか、気づいていないのか。
彼は私を抱えながらもう片方の手で頭をよしよし、と撫でられる。
そんな彼の大きな手と温かい体温に惑わされて……
あ、もう駄目だ。耐えられない。
最後の力を振り絞って彼の方を向き、頭を彼の方に預ける。
それを返事と受け取ったのか、私にニコッと笑いかける彼。
そんな彼を見て幸せだなぁ、と感じながら私は意識を手放した。
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すちさん お休みの日
お読みいただきありがとうございましたm(__)m
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作者名：ゆう | 作成日時：2023年11月16日 17時
