死体になる私と川西左近 ページ30
人気のない裏山で私はまた死体ごっこを始める。
冷たい土の上に寝転んで指先から徐々に力を抜いていく。いつものこと、でも今日は見つけてもらえないかも知れない。
だって今日、左近ちゃんは卒業してしまうから。
「佐伯さん⁈」
ああ、また駄目だった。
私は力を入れて起き上がる。
「左近ちゃん、卒業式は？」
「とっくに終わりましたよ」
君が私が左近ちゃんと呼んでも何も言わなくなったのは３年生の頃だったかな。
諦めたと言った方が良いのかも知れないけれど、左近ちゃんは相変わらず可愛くて頭を撫でる。
「よしよし、可愛いね」
「子ども扱いしないで下さいって」
君が私の背丈を追い抜いたのは４年生の頃だったかな。
私が君の頭を撫でる為に優しい君は合わせて屈んでくれていたのは知ってる。
「そんなことしてないよ」
「はぁ」
君が私の死体ごっこを止めるとき息切れをしなくなったのは５年生の頃だったかな。
最高学年になるからってたくさんたくさん走って努力して鍛えていたのを知っている。
「左近ちゃんは、可愛いねぇ」
「……佐伯さんはそればっかりですね」
君が私を悲しそうに見つめるようになったのは６年生の頃だったかな。
君は私が死体ごっこをするたびに表面上では怒ることをしたけれどその瞳に悲しみの色が浮かんでいたことは知っている。
左近ちゃんは私が誰かに見つけてもらえないことが不安なんだよね。
だって、君はとても優しい子だから。
「死体ごっこ、続けるんですか」
この質問は予想していた。
ここで頷いたら優しい彼は私から離れないだろう。
全てが私の望む通りになる。
「もうしないよ」
卒業して欲しくない。
「本当ですか」
また見つけて欲しい。
「うん」
医務室に行きたい。
「本当ですかね」
軽口を叩きあいたい。
「本当だって」
それを、繰り返していたい。
「信じていいですか？」
此処にいて欲しい。
「もちろん」
ずっと、一緒にいたい、
大好きだよ、左近ちゃん。
君のことを愛してた。
もし私がこの気持ちを伝えたとしたら、君は私の側から離れられなくなってしまう。
私は心の底から君が側にいてくれることを望んでいる。
でもね、優しい君の負担になるわけにはいかないからだから解放してあげる。
良かったね、これで自由だ。
だから、さよなら。ごめんなさい。
君が忍術学園を出た時、私は本物の死体となる。
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さえき やなぎ(プロフ) - 朱星姫さん» 朱星姫さん、コメントありがとうございます！評価ボタン…をですと…！自己満足とはいえ評価が貰えるとは…とても嬉しいです！これからも更新頑張ります^_^ (2018年3月23日 14時) (
レス) id: c81b01f34d (このIDを非表示/違反報告)
朱星姫(プロフ) - 素敵な内容ですね！毎日来るたびに評価ボタンを押してしまいます…！ (2018年3月21日 11時) (レス) id: 789145a355 (このIDを非表示/違反報告)
さえき(プロフ) - 泡沫 ザクロさん» 泡沫 ザクロさん、コメントありがとうこざいます！女好き系…自分でも気に入っているのでそう言っていただけるとはとても嬉しいです！これからもシリーズを続けていきます^_^ (2018年3月20日 22時) (レス) id: c81b01f34d (このIDを非表示/違反報告)
泡沫 ザクロ(プロフ) - 女好き系がもっと見ていたいです〜！ (2018年3月20日 20時) (レス) id: 818f5c4556 (このIDを非表示/違反報告)
さえき(プロフ) - めづさん» めづさんコメントありがとうございます！レスを押すのを忘れてしまっていたので慌ててもう一度送りました^^;慌て者ですみません… (2018年3月17日 23時) (レス) id: c81b01f34d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さえき | 作成日時：2018年2月20日 19時
