394.揺らぐ(HC) ページ17
12階から一気に階段を駆け降りると、全速力で公園内を走った。
A・・A・・・
心の中であいつの名前を呼び続ける。
あの日、携帯の向こうから聞こえた冷たい奴の声。
愛する女の無残な姿・・・。
頭の中を過る最悪のシナリオ。
あいつにまた何かあったら、ただじゃおかねえ・・・。
「危ないっ!!!」
「Aっ!!!」
「やめろっっ!!!」
叫び声がした方へと慌てて向かうと、目に飛び込んできたのは何者でもない、地面に倒れたあいつの姿だった。
「Aっっ!!!」
夢中であいつの元へと走り寄り、被さったドンへを引っ剥がすとAを抱き起こした。
「大丈夫か?怪我はないか?!」
何度も頷くAにほっと胸を撫で下ろす。
「うっ・・」
低いうめき声にゆっくりと後ろを振ると、見知らぬ男に両脇を抱えられた奴が、Aを睨みつけていた。
「てめえ・・・」
俺の声にも奴の視線は揺らがない。
「ヤー・・」
俺の背中をそっと撫でるAの温かい手が、罵声の1つでも浴びせてやろうとした俺の口を制した。
ったく。
お前だけだっつーの。
俺を止めることができるのも、
俺を全速力で走らせるのも。
今まで散々な目に合わされて来たって言うのに、あいつの手に手錠が掛けられるのを、悲しげな面持ちで見つめるAに、
「あの人にはあたししかいなかったのに・・」
「あの人は一人ぼっちでかわいそう」だと、涙を流したあいつを思い出す。
きっと、ここにいるメンバーも奴への想いを感じたそれぞれのAとの出来事を思い出していたんだろう。
連行されようとした奴に
「ちょっと待って下さい。」と声をかけ、近づいていくAを誰もが止めることなく見守った。
『あなた・・』
奴は、相変わらず冷たい視線をAに投げかける。
と、
Aはそっと奴を抱きしめた。
たった2秒。
奴はあいつを突き放し、背を向けた。
でも、俺達は見たんだ。
あいつの目が
終始、氷のように冷たかった奴の瞳がAの抱擁で
揺らぎ、
そして
潤んだのを。
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さあ(プロフ) - 更新楽しみにしてます:;(∩˙˙∩);: (2014年4月14日 15時) (レス) id: 1dbacc4eda (このIDを非表示/違反報告)
なりは(プロフ) - dongloveさん» こちらこそありがとうございます(*^^*)。出来るだけ更新できるよう頑張ります☆ (2014年1月16日 2時) (レス) id: 40584f4527 (このIDを非表示/違反報告)
donglove - そうですよーーー。 ドンヘぺんです。自分の過去に傷があり、そこをsjのみんなが癒してくれたりかばってくれたりするのが読みたかったんです。まさにこの作品ですねww書いてくださって感謝しています。ありがとうございます。 (2014年1月15日 20時) (レス) id: 683ddb18d9 (このIDを非表示/違反報告)
なりは(プロフ) - dongloveさん» コメントありがとうございますo(^▽^)o♪ニックネームから見て、dongloveさんはどんへペンさんでしょうか?なかなか甘い2人を書く事ができませんが・・・これからの2人の行く末をどうか見守ってくださいね^^。 (2014年1月14日 20時) (レス) id: 40584f4527 (このIDを非表示/違反報告)
donglove - 現実と小説がごちゃごちゃになってしまいましたWW。この作品すっごく好きです。更新楽しみにしてます。 (2014年1月14日 0時) (レス) id: 683ddb18d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なりは | 作成日時:2013年8月14日 14時