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ガコン、と音が鳴った。お茶と私が飲むようの水を取り出す。ベンチに座っていた虎杖さんにお茶を渡した。「ありがと!」と言いながら受け取る虎杖さんに私は『何か用事が?』と聞いた。
「いや、特にないよ」
「屋根の上、行ってみたいな〜」なんて脈絡のない言葉をポロリと虎杖さんが零した。『行ってみますか?』なんて言うと「マジ?!」と反応する。苦笑しながら虎杖さんを担いだ。グッと、体にかかる負荷が大きくなる。重い。何キロあるんだろう。
ダンッ、と屋根の上に飛ぶ。綺麗なところを見つけ、私は虎杖さんを降ろした。横に座る。虎杖さんは私の隣に腰を下ろした。
空は満天の星で埋まっていた。星が金平糖のようでとても美味しそうで、私は思わず手を伸ばした。
「……先輩さ、無理に笑ってない?」
『無理に、ですか?』
「そ。間違ってたらごめんだけどさ」
鋭いなぁ、と思う。私は彼に苦笑した。
「いや、今の言葉なしで。…先輩、怒ってるでしょ」
『え?』
思わず目を見開いた。なんで、バレたのかと焦る。私が何も喋らず固まっていると「先輩、分かりやす」と笑われた。
「俺、先輩が何背負ってるとか知らないけどさ。先輩の話聞くことぐらいはできるよ」
ぐわん、と心が脳が芯が揺れた。そうだ、私はこれを誰かから言って欲しかったのかもしれない。私は夜空をもう一度見上げる。虎杖さんを見て、前を向いた。
目を閉じて、回想する。
『……虎杖さんは鬼狩りについて知っていますか?』
どうせ、あと数年で教わることだ。教えてしまっても問題はない。
私は彼に口を開いた。「鬼狩り?」と首を傾げながら彼が反芻する。「鬼狩りって?」と彼が聞いてきた。
『鬼狩りとは鬼を斬る人達のことです。鬼とは人喰い鬼を指します。それは人を殺して食べることで力をつける。特別な刀で首を斬るか太陽の光で焼き殺さない限り死にません』
「チートじゃん」
『そうですね。人喰い鬼は先程言った二つの方法以外では死にません。腕が切られても足を千切られても瞬く間に傷が治ります』
「それで?」
『その鬼を斬るのが鬼狩り。鬼殺隊と呼ばれる組織です』
「鬼殺隊…」
「物騒な組織名」と虎杖さんが呟く。安心して、この呪術界も十分物騒な名前だ。呪術って黒魔術みたいな名前だよね。
『…………私は鬼に家族を殺されました』
「え?」
虎杖さんがこれでもかと言うほど目を見開いた。私は彼に微笑んだ。
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白い流星ーいずみんー(プロフ) - 初めまして〜。この小説は元々、落ちとか決めてなかったんで五条先生落ちになるのかはわかんないです…(完結のタグつけちゃった…)応援ありがとうございます (2021年5月26日 19時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月26日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
ノノ(プロフ) - 続き楽しみ (2021年5月16日 23時) (レス) id: cf6ccd0ff8 (このIDを非表示/違反報告)
白い流星ーいずみんー(プロフ) - コメントありがとうございます。頑張ります! (2021年5月16日 23時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
ノノ(プロフ) - 続き楽しみです!!!!!!! (2021年5月15日 10時) (レス) id: cf6ccd0ff8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い流星ーいずみんー | 作成日時:2021年5月9日 9時