香り ページ29
『阿鳥先輩！！』
｢...Aちゃん？｣
あの後私は走り出し、阿鳥先輩を追いかけてきていた。
走っても走っても平行線なこの世界は全然進んでる気がしなかったが、先輩を見つけたのでやはり間違いなく進んでいたんだ、と、他人事のようにそう思った。
｢だめじゃないか、来たら｣
『言いたいことがあって...っ』
全力で走ったからか息が上がっている。
肩を上下させていると、阿鳥先輩は私の背中を摩ってくれた。
...やはりいい人だ。目の奥が熱くなる。
けれど、早く言わなければ。
『ごめんなさい』
｢え？｣
『私の使命は、皆を助けることだったんです
それなのに、肝心の先輩を助けることが出来なかった』
大外に殺される前に、私が気づいておけば。
｢え、使命？｣
阿鳥先輩は何が何だか分かっていないようだった。
『先輩を助けられていれば、このホテルに来ることもあの世に行くこともなかった......！』
拳を握りしめ、阿鳥先輩から視線を外した。
相変わらず何も無い景色。それが今は憎らしい。
｢......Aちゃんが何を背負ってるのかわからないけど、俺はこのホテルに来て後悔はしてないよ｣
『え、』
再び阿鳥先輩を見ると、彼は笑っていた。
｢そりゃ、死んでるって聞いた時は驚いたけどね｣
『...驚いたなんてそんな程度なわけ......！』
また泣きそうになったその時だった。
『.........あ、とり先輩？』
阿鳥先輩の香りでいっぱいになり、混乱しつつ状況を整理する。
｢本当に、大丈夫だから｣
───抱き締められていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 280人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤(プロフ) - さら丸さん» コメントと読破ありがとうございます！！！！サイコーと言って頂けて嬉しいです...！！頑張った甲斐がありました(;_;) (2022年3月2日 2時) (
レス) id: cd414864d2 (このIDを非表示/違反報告)
さら丸 - ｽｩ…………好きｨｨｨｨｨｨｨｨｨイイ！！サイコーでした！！！！ (2022年2月20日 20時) (レス) @page50 id: f75e97b3f4 (このIDを非表示/違反報告)
赤(プロフ) - 名無しのヤンデレ好きさん» わーー！！そう言って頂けてすごく嬉しいです(TT)どういう風に完結させようかもの凄く悩んだんですけど、、良かったです^^こちらこそ読んでいただきありがとうございました！！ (2019年8月8日 2時) (レス) id: f808b76a9b (このIDを非表示/違反報告)
名無しのヤンデレ好き - あーーーー！！！！すっっっっごく好きです！完結して涙が出ます笑笑なんか、ほんと、好きです！！もう誰ソ彼ホテル好きすぎて…。素晴らしいお話と感動をありがとうございました！ (2019年8月7日 23時) (レス) id: 0445038fa5 (このIDを非表示/違反報告)
赤(プロフ) - ここまで自分の好きな要素や展開を広げたお話は初めてだったので楽しく書けて幸せでした...本当にありがとうございました。この先のお話は皆様の想像にお任せします笑 それではまたどこかで！ (2019年7月6日 4時) (レス) id: f808b76a9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
