表裏物件 (ページ17)

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気付けばオッパにおんぶされていた。

『...なんで？』

「いや起こしても起きなかったからだよ。ほら引っ越すって言ってたろ」

私が寝ている間に荷物は業者によって運ばれたから、あとは私達が移動して部屋を決めるだけ。

...らしい。

『そう言えばオッパなんでいるの』

「今更かよ(笑)今日は休みなの、他の奴がマネージャーやってるから大丈夫」

なるほど。

表裏物件に到着し、私達は2番目にいい部屋を選んだ。

ほんとはばんたん達が使ってる部屋が良かったけど仕方ない。

自分の部屋に入り部屋を整える。

『.....こんなの、いらないのに』

桜色のカバーに包まれた卒業アルバム。

私の本当の両親がこちらまで送ってきて、捨てようと思ったらオッパとオッパの両親にダメって言われたやつ。

学生時代、特別いい思い出もないから、こんなのもういらない。

...今が1番楽しい.....気がする。

私はため息をつき、その時は棚に立て掛け管理の仕事に戻った。

＊

夜、卒業アルバムを手に持ち、こっそり部屋を抜け出した。

今の時間ならたしか、焼却炉が燃えてるはず。

...燃やしてしまえば、誰も何も言えないし。

思った通り、焼却炉は燃えていた。

暗い中炎が明るく燃えている。

私はアルバムを持った手を、焼却炉に差し出した。

『燃えちゃえ』

そう呟いてアルバムから手を離した。

...と、思ったのに。

「そんな大事なモン燃やす気かよ」

...げ、

『なんで、ユンギがここに、』

「たまたま通りかかっただけだ、たまたま」

『.....』

離したアルバムが燃える前に、ユンギが素早く取ってしまった。

...あー、まさか人に会っちゃうとは。

運悪いなぁ私。

『...そんなのいらないし、そのまま燃やしてよ』

その声は多分、震えてた。