5-5▽ ページ33
｢そんなんじゃないよ、私は｣
｢え？｣
｢私は猫なの。猫と人は恋人同士にはなれないでしょ？それに個性だって強くないよ｣
｢……あの、ごめんなさい、そんなつもりじゃ｣
結べないネクタイを手に持って、扉の鍵を開けた。
焦凍の顔が整っているのは知っていた。女の子はみんなカッコイイって言うことも。八百万さんだって、焦凍に対してそういう感情がない訳ではないだろう。
私はずっと焦凍の隣に居るだけで何もしないし、恋人でもなければ友人でもない。強いて言うなら家族に当てはまるかもしれないが、所詮ペットだ。
更衣室を一歩出て、後ろを振り返る。
｢私ね、一人じゃ何も出来ないの。ネクタイだって結べないし、お風呂にも浸かれない。それでも生きていけるのは、全部しょーとのおかげなのです｣
猫かぶった満面の愛想笑いを浮かべて、八百万さんにはっきりと言った。
｢＿＿しょーとは私のご主人様だから｣
チリン、と鈴が鳴った。八百万さんは何とも言い表せない表情で、下を向いていた。
……廊下に焦凍が居たらどうしようかと思った。廊下の奥の自販機に居る。
八百万さんには少し意地悪な言い方をしてしまったけど、全部本当の話だ。
それに猫は嫉妬深い。焦凍が他の女の人と一緒に居るところなんて見てられないし、他のことに夢中になって構ってくれないとすぐに機嫌が悪くなってしまう。
家庭医にも｢猫としての本能が強い｣と言われたくらいだ。それも父からの遺伝が……
(お父さん、か)
焦凍は炎司さんのことを嫌っているみたいだけど、私は羨ましい。お父さんとはもう会えないだろうし、お母さんには合わす顔がない。でもまあ、つくづく不幸な家庭環境であると思う。焦凍も、私も。
｢しょーと｣
自動販売機で飲み物を買っていた焦凍に、後ろから声を掛けた。
振り向いた焦凍が紙パックの牛乳を渡してくれた。
｢A、戻ったのか。……猫になるなとは言わねえが、色々困るからな。八百万にちゃんとお礼言ったのか？｣
｢ん、言ったよ｣
｢そうか。後で一応お礼しないとだな……｣
｢言ったってば。……ネクタイして、しょーと｣
八百万さん、絶対焦凍のこと気になってる。今は好きじゃなくても、いつか好きになる。私の勘がそう言ってる。
焦凍にネクタイを結んでもらっていたら、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
ストローを咥えて牛乳を飲みながら、急いで教室に戻った。
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二 - イラスト上手すぎる、、。 (2021年5月5日 7時) (
レス) id: f6d5c08391 (このIDを非表示/違反報告)
こたつゆず(プロフ) - 絵上手すぎです!!尊敬します!!私下手くそすぎてやばいので教えて貰いたいくらいです!! 師匠と呼んでいいですか? (2018年10月7日 20時) (レス) id: 3780c963fa (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 花さん» お褒めの言葉ありがとうございます……！嬉しいです(*´ω｀*)トプ画も一応考えていたんですけど、あっという間に続編に……イラスト更新と本編の更新は別々になりそうです。トプ画の件も考えておきます、貴重なご意見ありがとうございます！ (2018年4月30日 0時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
花 - 絵、上手ですね！こういう感じの絵って大好きです！タイトル(?)の所に画像載せれるんですけど、描かないんですか？私はいいと思いますけど…時間があるときに考えて頂ければ幸いです！どうかご検討お願いします。長文失礼しました！((更新頑張って！ (2018年4月28日 22時) (レス) id: 3fabea4b64 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 鈴木美妃さん» コメントありがとうございます。申し訳ございませんが、現在夢絵のリクエストは受け付けておりません。もう少し描き慣れて、時間が余っていましたらご連絡しますm(_ _)m (2018年4月18日 19時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影猫
| 作成日時：2018年4月7日 17時
