25-2▽ ページ45
とりあえず、宿屋の近くを歩いてみることにした。地図だって読めなくはない。自信はないけど、多分大丈夫。
大きく伸びをして空を見上げた。
今日は天気も良いし、散歩日和だ。本当はゾムと一緒に散歩をしたかったなんて思ったが、はっとして考えるのをやめた。依存し過ぎなのは自覚している。……けどそれは悪いことなのだろうか。
(うぅ……よし、大丈夫大丈夫……ゾムにあげるお土産も探そう。きっと大丈夫……)
自分に言い聞かせながら、ようやく足を進めた。
宿屋から少し歩けば、町民もよく利用するという八百屋や肉屋のある商店街に行けるらしい。その商店街には、小さな酒屋やちょっとした観光客向けの店もある、と宿屋で貰ったマップに書いてあった。
(食べ歩きもいいかも……でも一人かぁ、寂しい)
花屋の仕事では一人で、もしくは里親としか外の世界に出なかった。もちろん友達なんて居なかったし、恋人もゾムが初めて。というか、ちゃんとした人間的な付き合い自体が初めてだ。
せっかくならゾムと、とばかり思考しているが、本当はゾムと一緒じゃなきゃどこに出掛けても意味なんてない。そう思い込んでしまっていた。
だから何とか明るい気持ちを持ちたいのだが、そもそもの話、一人__独りとも言う__が寂しいから無理だ。
ゾムと出会ってから、彼と違う時間を過ごす日は一日たりともなかった。今更ご飯も一人、夜寝る時も一人だなんて考えられない。
はぁ、とため息が零れてしまい、つい足を止めてしまった。
「オネーサン、一人っすか?」
「……!?」
いつの間に背後を取られたのか、振り返ると青年が一人立っていた。お姉さん、ということは年下なのだろうか。その薄紫色に光る眼は、何処かで……。
あぁそうか、兄さんに似ているのか。兄さんと同じ系統の色だから。しかし目の前の青年とは初対面だ。
もしかしたら地元の人かもしれないし、まあナンパではないよね、と密かに深呼吸をして、彼に向き合った。
「そう。一泊二日で……遊びに?来たんです。地元の方ですか?」
「あー……まあ一応。今は別の地域に住んでますけど。キョロキョロしてると思ったら、立ち止まっちゃったから。もしかして迷ったのかと」
淡々と喋る青年を見て、何故か感心してしまった。困っているのかもしれないと声をかけるなんて、良い人……なのかもしれない。
何だか彼とは友達になれそうだ。頑張ってもう少しだけ会話してみよう。
1116人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
影猫(プロフ) - トウマさん» ありがとうございます!私もヤンデレ好きです(笑)今度ガチもんのヤンデレも書いてみたいです。更新頑張ります……! (2018年3月8日 3時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
トウマ(プロフ) - 影猫さんのゾさんがめちゃくちゃ好きです…ヤンデレが大好物なので()更新頑張ってください! (2018年3月7日 22時) (レス) id: a615484a47 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるそーす(プロフ) - 影猫さん» 了解ですっ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 7e83d7a6cd (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - きゃらめるそーすさん» コメントありがとうございます。ついったでフォロー申請送って頂いた方でしょうか?誤操作で蹴ってしまったので、申し訳ございませんがもう一度送って頂けないでしょうかm(_ _)m (2018年2月23日 13時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるそーす(プロフ) - 影猫様のゾム氏がかっこよすぎて禿げそうになるぐらい悶えてますwこれからも頑張ってくださいっ!応援してますっ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 7e83d7a6cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:影猫 | 作成日時:2018年1月8日 18時