25-1▽宿屋 ページ44
｢財布忘れてへん？知らん人に名前聞かれても答えたらあかんで？ほんとに一人で大丈夫……？｣
｢もうゾムってば、大丈夫だよ？お仕事遅れちゃうよ、ほら｣
ぎゅうぎゅうと抱き着いてくるゾムから抜け出し、距離をとった。
ゾムに連れて行かれたのは来たこともない、ましてや知りもしない町だった。仕事先はまだ少し離れた場所らしいが、ゾムを信じることにした。基地に一人で残るのは危険だ、と真顔で言われた時は流石に戸惑ったが、これでゾムの心配事が減るならと従った。
宿屋の前でずっとこんなやりとりをしている。ゾムがなかなか出発せず困っているところだ。
｢ゾム、そろそろ時間……んんっ、｣
｢……っ、ん、…………おれ無理かも……｣
不意打ちのキスにドキドキしながら、ゾムの方を見つめた。……無理かもなんて弱音、初めて聞いたかもしれない。それほど心配してくれているのだろう。
そんなゾムにもう一言声をかけてあげたくて、一生懸命考えた。
｢帰ったらいっぱいお話しよ？｣
｢当たり前や……｣
｢んー……じゃあ、私に出来ることなら一つだけ何でもしてあげる。……それでも頑張れない、？｣
｢頑張るわ！！じゃあいってきます！｣
｢わ、｣
ハグをひとつ交わし、ゾムはあっという間に行ってしまった。単純だなぁ、なんてくすくす笑いながら、もう見えなくなったゾムに手を振った。
ようやく宿屋の中に入り、受付を済ませる。ゾムが予約をとってくれたみたいだけど、如何にも民家って感じだ。私を引き取った花屋は城下町にあった。孤児院は記憶にないが、この辺りではないと思う。
渡されたキーの部屋に入り、ようやく息を吐くことができた。キャリーケースを部屋の隅に置いたまま、ぼんやりと部屋を見渡す。田舎という言葉が似合うと思う。何だか懐かしいような気もする。何故か安心するような、落ち着く宿屋だった。
(ゾムがお仕事の間、宿屋の町内なら自由に歩いていいとは言われたけど……)
引っ越した時はなるべく外出ないで、なんて言われたのに。別に外に出たい願望はないからいいんだけど。
今回は観光というより散歩、気分転換程度に楽しもう。
よし、さっそくお昼ご飯を何処で食べるか決めよう。確か、貰った町のパンフレットに色々載っていたはず……。
(…………、やっぱりゾムと一緒じゃなきゃ、楽しくないなぁ)
一人で過ごすのって、こんなに寂しいものなんだ。
……でも、せっかく来たんだし、ちゃんと楽しまなくちゃ。
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影猫(プロフ) - トウマさん» ありがとうございます！私もヤンデレ好きです(笑)今度ガチもんのヤンデレも書いてみたいです。更新頑張ります……！ (2018年3月8日 3時) (
レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
トウマ(プロフ) - 影猫さんのゾさんがめちゃくちゃ好きです…ヤンデレが大好物なので（）更新頑張ってください！ (2018年3月7日 22時) (レス) id: a615484a47 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるそーす(プロフ) - 影猫さん» 了解ですっ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 7e83d7a6cd (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - きゃらめるそーすさん» コメントありがとうございます。ついったでフォロー申請送って頂いた方でしょうか？誤操作で蹴ってしまったので、申し訳ございませんがもう一度送って頂けないでしょうかm(_ _)m (2018年2月23日 13時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるそーす(プロフ) - 影猫様のゾム氏がかっこよすぎて禿げそうになるぐらい悶えてますwこれからも頑張ってくださいっ！応援してますっ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 7e83d7a6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影猫
| 作成日時：2018年1月8日 18時
