7-1▽隷属 ページ32
｢！｣
鍵を差し込み、扉を開ける音に反応した。
時計を見ればもう正午で、昼食をとるためにゾムが帰ってきたようだ。
先程まで見ていたテレビの電源をリモコンで切り、玄関へ駆けつけた。
｢おかえりなさい。何か作ろうかと思ったんだけど、材料が……ひゃ、！｣
｢ただいまぁA……｣
ゾムに抱き着かれてよろけてしまった。
彼の体の温もりと匂いに、よく分からない感情がかき混ぜられる。
……仕事で何かあったのだろうか。
｢あの、ゾム、苦し……｣
｢おれにはAしか居らへんの｣
言葉を遮られ、口を紡ぐ。
ゾムの人間関係は知らない。本性だって知らない。
けれど、今はこのまま抱きしめられて居ることが正解なのだと思った。
｢Aも、おれだけよな……？｣
｢…………｣
私には、ゾムだけ。
そうだ、この人が居なければ私は何かを食べることも出来ない。私はゾムに生かされている。
だったらゾムに逆らうことも出来ないし、生きる意味など私自身にはないのだ。
｢なあA、｣
｢っ、うん……｣
抱き潰されそうなほど力強くて、もちろん振り払うことも出来ない。
一生懸命息を吸って返事をするとゾムは安堵したのか、抱きしめる腕を緩めた。
そっと離され、どっと変な汗が流れる。
ゾムに対して恐怖を感じていたことにやっと気付く。もしNoと言っていたなら、どうなっていただろう。
……不器用な人だ。
ゾムはやっと靴を脱いで家にあがった。
手にナイロン袋を持っていて、どうやら何か買って帰ってきたらしい。
リビングまでの短い距離を後ろについて歩いた。
｢何か買ってきたの？｣
｢ん、あぁ……適当に弁当を｣
袋から取り出しテーブルに置く。
ハンバーグ弁当らしい。まだ温かった。
ゆっくり噛んで食べながら、ゾムの食べる姿を見つめていた。
室内でもなかなかフードを取らないが、顔が整っていて何より綺麗なエメラルドグリーンの色をした目を持っている。
ずっと眺めていれば、いつの間にか見惚れてしまう。
ゾムとぱちり、目が合う。
ずっと見ていたのがバレたらしい。
｢……どした？｣
｢あ、いや……｣
｢そういや今日は午後から仕事出ても大丈夫？｣
｢へっ、あ、ぅ、うん！大丈夫、……｣
突然昨日の話を振られ、慌てて返事をした。
ゾムはニヤリと｢ふぅん……？｣と呟き、またハンバーグを口に入れた。
焼かれた肉塊が口に入るのを見て、ドキリと胸が鳴る。……どうやら私も、おかしくなってしまったらしい。
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ゆき(プロフ) - めっちゃアウトwwwwまぁ、いいんですけどね……親が来ると、ｻｯと、隠すわw (2018年8月3日 2時) (
レス) id: 4e186dbe54 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - いちごあめさん» コメントありがとうございます。夢主の年齢は｢ゾさんの四つ下｣という設定しかございませんので、読者様の想像する年齢でお任せします(*^_^*)更新頑張ります！ (2017年11月4日 8時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
いちごあめ(プロフ) - いつも更新を楽しみに読ましていただいてます( *´艸)更新頑張ってください！待ってます。一つ質問なのですが、夢主の年齢っていくつくらいなのでしょうか？もし見逃しているだけだったらすみません… (2017年11月3日 23時) (レス) id: abf32b3362 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - シャルルさん» コメントありがとうございます。私もこういう話が読みたくて書いてます……(笑)更新頑張ります！ (2017年10月31日 21時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
シャルル - ゾムさん好きなので、こういう小説を待ってました…！一話更新時からずっと見てます〜。これからも更新頑張ってください！ (2017年10月31日 16時) (レス) id: 587f2cf2fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影猫
| 作成日時：2017年10月13日 21時
