2-1▼犯行 ページ4
｢あ、帰ってきた。今度は何悪さして来たん、悪い顔してるで｣
｢えー？そんなことないっすよぉ！｣
赤いマフラーをし、眼鏡をかけているのは書記長のトントンだ。
彼の赤目はよく光る。
隠れ家から軍事施設に戻り、ソファにどかっと座った。
この時間はやはりトントンくらいしか居ないようだ。
それもそうか、総統なんて朝起こさないと部屋から出てこないくらいだし。
他のやつも仕事だったり寝坊だったりだし。
｢えらいご機嫌やなゾム。怖いわ｣
｢んー……いや、んふふ｣
｢えっ怖……暇なら仕事して仕事。現業がお好きなゾムさんは向こうの施設に行って、どうぞ｣
｢嫌やわ飽きた。しかも男ばっかり。それに回収の方もほとんど終わってるじゃん｣
｢それもそうやな｣
トントンの言う“向こうの施設”とは、簡潔に言うと宝石眼を持つ庶民の保護施設だ。
宝石眼の目玉は高値で売れる。数年前にそういった事件が起こり、政府は対策として保護施設を作ったわけだ。
しかし回収は面倒くさい。幸せな家庭で育った奴なんかは抵抗してくるし、説得は面倒だし、ギャンギャン煩いし。
宝石眼の所持者の九割以上が男らしい。
志望者は軍に入ることも許可している。
既に宝石眼所有者の八割は保護が完了している。
未保護の者は書類に残っていて、それを回収する仕事を何人かでやっている。けれど、悪人に捕まっている者の回収はほとんどおれに回ってくるから不満だ。暗殺は得意だが、これじゃあ楽しくない。
｢ああそうや、怒られる前に一ついい？｣
｢ほう、怒られることをしてたんやな？｣
｢まあ聞いてや。……おれ、女の宝石眼持ち見つけちゃった｣
｢……はあ！？初耳なんやけど！ホンレンソウちゃんとしてもらえる！？｣
｢結構前から見つけて計画してた。んで、実行してきた｣
｢おい、待て、待て。その子は今どこに居る？施設か？｣
｢あんなむさ苦しい所に入れるわけないやん！それだからトン氏はどうて……あっ何でもない｣
目が怖い。赤色に光るトントンの目は、総統とはまた違った赤色だ。
説明を請われ、仕方なくこれまでの経緯を話した。
前に裏の悪い組織を潰した時に、一員に吐かせた情報だ。
どうやらサブリーダー夫婦が児童養護施設の子供を随分前に引き取ったらしいと。
その時に｢宝石のような目をしている、これはいつか高く売れる｣と嬉嬉として話していたそうだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき(プロフ) - めっちゃアウトwwwwまぁ、いいんですけどね……親が来ると、ｻｯと、隠すわw (2018年8月3日 2時) (
レス) id: 4e186dbe54 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - いちごあめさん» コメントありがとうございます。夢主の年齢は｢ゾさんの四つ下｣という設定しかございませんので、読者様の想像する年齢でお任せします(*^_^*)更新頑張ります！ (2017年11月4日 8時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
いちごあめ(プロフ) - いつも更新を楽しみに読ましていただいてます( *´艸)更新頑張ってください！待ってます。一つ質問なのですが、夢主の年齢っていくつくらいなのでしょうか？もし見逃しているだけだったらすみません… (2017年11月3日 23時) (レス) id: abf32b3362 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - シャルルさん» コメントありがとうございます。私もこういう話が読みたくて書いてます……(笑)更新頑張ります！ (2017年10月31日 21時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
シャルル - ゾムさん好きなので、こういう小説を待ってました…！一話更新時からずっと見てます〜。これからも更新頑張ってください！ (2017年10月31日 16時) (レス) id: 587f2cf2fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：影猫
| 作成日時：2017年10月13日 21時
