137＊プロポーズ ページ48
＊
｢……A、大事な話があるんやけど｣
｢？どうしたの……？｣
ゴクリと唾を飲み込んだ。
あれから一週間ほど経った。予定では明日式を挙げることになっている。
……が、タイミングを掴めず、話を切り出すことも出来ず、前日の夜まで指輪は手許に残っていた。
沢山考えた。シチュエーションとか、言葉とか、本当に沢山考えたのだ。
けれど、上手くまとまらなかった。そして段々と不安になってしまう。
もうぶっつけ本番で言うしかない、とパーカーのポケットに小さな箱を入れて風呂上がりのAに近付いた。
｢……あ、あのな、A｣
｢？｣
尻尾を手入れしていた手を止めて、小首を傾げる。
言葉を詰まらせると、Aまで不安な表情をした。いや、させてしまった。
明日はもっともっと大変なのだから、覚悟を決めなければ。
｢＿＿結婚、してほしい……んやけど｣
｢……けっこん、｣
やらかした、いつもと同じような喋り方をしてしまった。もっと格好いい言い方は出来なかったのか。
ぜひとも今この瞬間をやり直したいが、もうどうにもならない。
差し出した指輪の箱だって、これで良かったのだろうか。
おそるおそるAの方を見ると、何か考える仕草をしていた。
｢……けっこん、って？ わ、わたしたち、番の関係……じゃ、なかったの…………？｣
今にも泣き出しそうなAの表情に焦り、慌てて言い返す。
｢番やで？そうなんやけど、……ええと、番は狼として、結婚は人として……みたいな｣
｢人として……って、女性として、ってこと？｣
｢あ、そうそう……そんな感じ｣
……これでいいのか？
プロポーズって、もっとロマンティックな感じじゃないのか。こんなにやんわりしたものでいいのだろうか。
しかしAが“女性”という言葉を使うのは予想外だった。
また誰かに何かを吹き込まれたのか。
｢……嬉しい。わたし、ゾムのお嫁さん？｣
｢…………なってくれるの？｣
｢うん、もちろん……！あの、ほんとに、いいの……？｣
まだ何か不安に思っていることがあるのか、Aが再度確認してきた。
頷いてやると、こちらに向かって飛び込んでくる。それをしっかり受け止めてやり、ほっと息を吐いた。
とりあえず断られなくて良かった。
これで無事明日を迎えることが出来る。
Aは結婚指輪を左手の薬指にはめて、心底嬉しそうに眺めていた。
そのまま寝落ちてしまったおれの可愛い“お嫁さん”に、布団を掛けた。
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りこち(プロフ) - \( 'ω')/ｴﾝﾀﾞｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｲﾔｧｧｧｧｧｧｧｧ (2021年3月16日 13時) (
レス) id: 7094782543 (このIDを非表示/違反報告)
ひとほ(プロフ) - おわたああああああああぁぁぁ！ありがとうございました!!!!!!!!!これからもよろしくお願いします！（これからも見るので） (2021年3月6日 9時) (レス) id: 542167216b (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ただひたすらにときめきました！ああああああ2人が可愛すぎるううう (2020年8月25日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきい - んううああああああ！嬉しみいいい！！！！ (2017年11月5日 15時) (レス) id: f1013ba797 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 留さん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けてとても嬉しいです…！他作品、次回作でもぜひよろしくお願いします。ご愛読ありがとうございました！ (2017年11月4日 13時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影猫
| 作成日時：2017年8月27日 0時
