136＊かっこいい ページ47
＊
｢A、そこで見ててな。……じゃ、行ってくる｣
｢うん、いってらっしゃい！｣
いつもの緑のフード……ではなく、軍帽を被り直した。
正装はやはり好きでないし、何より慣れない。
今日は国民の前に初めて立つ。
けれどそれはおれだけで、Aはロボロのもとでお留守番だ。
もう一度振り返ると、Aと目が合う。
｢……大丈夫！ゾム、かっこいいよ！｣
Aはぴょんぴょんと跳ねながら笑顔で言う。
思わずにやけそうになるのを抑えて、前を向いた。
……かっこいいなんて言われたのも初めてな気がする。おれは普段から内心Aのことを可愛く思って仕方ないのだけれど。
大勢の民衆の前に立つグルッペンが奥に見える。
何だかとても緊張してしまう。普通にして居れば良いとは言われたけれど、突然国民に自己紹介しろなんて言われても……とは思う。
(……式は身内だけだよな？)
オスマンにも手伝ってもらい、式の準備は着々と進んでいる。
もうドレスだって出来上がったと聞いている。採寸した時、式のことは何も言わずに｢身長とか測るだけやで｣と伝えると、案の定Aは騙されたままだった。
Aは喜ぶだろうか。
……きっとすごく驚くだろうな。
先の未来を思い浮かべながら、Aから貰ったネックレスを左手で押さえた。
グルッペンが集まった国民に告げる。
｢＿＿我が国の軍隊は新たに特殊部隊を設けた。彼の名はゾム。我々は“彼ら”の入国を歓迎する！｣
｢……！｣
拍手喝采の中、グルッペンの言葉に気付く。
“彼ら”の言葉にはおれだけじゃなく、Aも含まれていた。直に式を挙げることがあってかなくてかは分からない。けれど、純粋に嬉しかったのだ。
右手で敬礼し、少し恥ずかしい気もするが、しばらく顔を見せていた。
.
｢ゾム！｣
｢A……！｣
飛びついてきたAを受け止める。
一気に肩の力が抜けて、何だかほっとした。受け入れてもらえて安心した、と言うのが正しいか。
……Aのことも、受け入れてもらえたらいいのに。そうしたらマントやフードを被って、獣耳も尻尾を隠さないですむ。
｢お疲れ。なかなか良かったゾ｣
｢めっちゃ緊張した……｣
後ろからグルッペンに声をかけられる。
流石総統と言うべきか、ああいった事も慣れているようだった。
｢……“次”はもっと盛り上がるだろう。楽しみだな｣
｢…………え？｣
Aを撫でる手が固まり、目をぱちくりさせた。
.
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りこち(プロフ) - \( 'ω')/ｴﾝﾀﾞｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｲﾔｧｧｧｧｧｧｧｧ (2021年3月16日 13時) (
レス) id: 7094782543 (このIDを非表示/違反報告)
ひとほ(プロフ) - おわたああああああああぁぁぁ！ありがとうございました!!!!!!!!!これからもよろしくお願いします！（これからも見るので） (2021年3月6日 9時) (レス) id: 542167216b (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ただひたすらにときめきました！ああああああ2人が可愛すぎるううう (2020年8月25日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきい - んううああああああ！嬉しみいいい！！！！ (2017年11月5日 15時) (レス) id: f1013ba797 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 留さん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けてとても嬉しいです…！他作品、次回作でもぜひよろしくお願いします。ご愛読ありがとうございました！ (2017年11月4日 13時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影猫
| 作成日時：2017年8月27日 0時
