126＊読書の時間 ページ37
.
｢A、おれもうそろそろ寝るけどどうする？眠れそう？｣
｢うーん……今日はほとんど寝てしまってたからなぁ｣
風呂に出て、ソファに座っていたAに声をかけた。
前日だからか、流石に風呂を一緒に入ろうとは言われなかったし、言わなかった。
午前も午後も寝てばかりだったから、眠くないのだろう。
尻尾を手入れしながら、静かに座っていた。
｢じゃあ、一緒に絵本読もうや。A、最近お勉強頑張ってるんやろ？｣
｢うん……！｣
乗り気になってくれて良かった。
少しでも気分を和らげてあげようと思い、思い出したように提案した。エーミールに借りた絵本だ。
ベッドに上がり込み、上半身を起こしたまま布団を被る。
そして布団を少し捲り｢おいで｣と呼べば、Aは嬉しそうに脚の間に座った。……少し危ない体勢に思うのはおれだけなのだろう。
｢んじゃ、読もっか｣
Aは自信げにページを捲った。
.
｢ぐぅ……｣
｢…………まじか｣
絵本を読み終わってすぐにAは寝落ちた。
これで今日はほぼ一日中寝ていたことになる。
しかし驚いた。文字なんて一つも読めなかったAが、すらすらと音読していた。
どうやら最近漢字の勉強もし始めたらしい。
トントンの教えが良いのだろう、あのAが短期間でこれだけ出来るようになるなんて……。
すやすやと眠るAの額にキスを落として、部屋の電気を消した。
布団を被り直し、隣で寝ている小さなAの体を抱き枕にして眠る。
明日の夜が不安になる。が、きっとおれよりAの方が不安なはずだ。おれが弱音を吐いていてどうするんだ。
そう思い直して、目を瞑った。
＊
｢ゾム、ゾム｣
｢……んぁ｣
｢ゾム、遅刻しちゃうよ、ゾム｣
｢……はっ！…………って今日はお休みや、A｣
｢あれ、そうだっけ｣
どうやら今日はAの方が早起きらしい。
揺さぶるのをやめ、今度はこちらにダイブしてきた。
それを受け止め、獣耳を撫でる。うん、今日も温かい。
｢……朝食は食べれそう？｣
｢んーと、朝と昼になるべく食べるようにするね｣
｢分かった。じゃあ着替えて食堂行こっか｣
｢うん！｣
Aは明るく笑い、ベッドから下りて先に着替え始めた。
恥じらいもなく寝間着を脱いでいる。
｢あー、今日の下着は黒なんだ｣なんて思いながら、Aの着替えをじっと見ていた。
｢ゾム？｣
｢ん、ああ、着替えるわ｣
仕方なく起き上がり、自分も着替えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 799人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りこち(プロフ) - \( 'ω')/ｴﾝﾀﾞｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｲﾔｧｧｧｧｧｧｧｧ (2021年3月16日 13時) (
レス) id: 7094782543 (このIDを非表示/違反報告)
ひとほ(プロフ) - おわたああああああああぁぁぁ！ありがとうございました!!!!!!!!!これからもよろしくお願いします！（これからも見るので） (2021年3月6日 9時) (レス) id: 542167216b (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ただひたすらにときめきました！ああああああ2人が可愛すぎるううう (2020年8月25日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきい - んううああああああ！嬉しみいいい！！！！ (2017年11月5日 15時) (レス) id: f1013ba797 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 留さん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けてとても嬉しいです…！他作品、次回作でもぜひよろしくお願いします。ご愛読ありがとうございました！ (2017年11月4日 13時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：影猫
| 作成日時：2017年8月27日 0時
