93＊お預かり狼 ページ3
＊＊＊
｢さて、どうしよか……｣
ゾムから預かった狼娘、Aは部屋をうろちょろと歩き回っていた。
どうも落ち着かない様子で、ご主人(？)から離れたせいか少し不安げにも見える。
書類の息抜きにでも教えたらいいかと思っていたが、何となくすぐに飽きてやめてしまいそうだから先に教えておくか。
｢Aちゃん、こっち来て｣
｢……！｣
名前を呼ぶと、控えめに寄ってきた。
椅子に座らせると、机に手を置いて大人しくなる。
ゾムに渡されていた教育本を、まずは一冊手に取った。
この国で一般的に使われている言語から教えたので大丈夫だろう。
｢はい、Aちゃん。ペン持ってね、これ｣
｢ペン？｣
何に使うのか分かっていないようで、両手で持ったり落としたりして遊び出す。
喋ることは出来るみたいだが、見た目よりかなり幼い知能だ。
この子がいつからゾムと一緒に居るのかは知らないが、誰かから教育を受けてはいなかったのか。
｢これが[あ]ね。[あ]。言いながら書いた方が覚えやすいと思うで。書き順はこう｣
｢あ？｣
｢そう｣
｢赤の[あ]？｣
｢せやで｣
お手本をなぞり、次に形を見ながら自分で書いていた。
頑張っているからか、眉間にしわが少し寄っていて面白かった。
獣耳が時々ピクリと動いたり、尻尾を揺らしていたりしていた。本当に生えているのか、と少し驚いたけど。
まあ、思ったよりスムーズに進みそうで良かった。
｢Aちゃんは、いつからゾムと一緒に居るん？｣
｢ゾム？うーん……新月の夜、から？｣
(いつの新月や……まあいいや)
｢あなたは、ええと…トン……トンちゃん？｣
｢トンちゃん！？え、いや、別にそれでもええけど……｣
まさかそんなふうに呼ばれるとは思ってもみなかった。
普通の人間とは違うとはいえ、女の子に変わりない。
駄目だ、この子はよその子……何なら人妻だとでも思っておいた方がいい。
預かる時に見ていて思ったけど、ゾムは独占欲が強すぎる。
｢コイツはおれのだ｣って目してたし。
それと同時に共依存してるのが怖いところだ。
何だろう、手出したら普通に殺されそう……。
｢はは、Aちゃん俺にあだ名で呼んで大丈夫なん？ゾムが怒っちゃうんじゃないの？｣
｢あっ……そうだった！！｣
(そうだった！？)
｢他の人とおしゃべりするの、ヤダって言ってた、わすれてた……｣
(ああ、もう手遅れか……)
首輪つけてる時点でアレだったけど。
重症だな……ゾムもこの子も。
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りこち(プロフ) - \( 'ω')/ｴﾝﾀﾞｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｲﾔｧｧｧｧｧｧｧｧ (2021年3月16日 13時) (
レス) id: 7094782543 (このIDを非表示/違反報告)
ひとほ(プロフ) - おわたああああああああぁぁぁ！ありがとうございました!!!!!!!!!これからもよろしくお願いします！（これからも見るので） (2021年3月6日 9時) (レス) id: 542167216b (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ただひたすらにときめきました！ああああああ2人が可愛すぎるううう (2020年8月25日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきい - んううああああああ！嬉しみいいい！！！！ (2017年11月5日 15時) (レス) id: f1013ba797 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 留さん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けてとても嬉しいです…！他作品、次回作でもぜひよろしくお願いします。ご愛読ありがとうございました！ (2017年11月4日 13時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影猫
| 作成日時：2017年8月27日 0時
