幸福の怪人百面相 4【男主】

191話 ページ45

Aに続き､辺りを見渡した2人が安堵した様な反応を示した



鈴｢┄あたし達､ずっとここ(･･)に居るわ
【犯人(アイツ)】が捕まるまで…

あたしとアーノルドが《後ろを振り向いて》パパとママの所に行くのは…この町に〖平和〗と〖誇り〗が戻ってきた時…


それ迄は､此処を離れられない｣



無事に腕から逃げ仰せ､少し身体が透けている鈴美が《自分達が成仏する条件》を3人に伝える


手荷物が1つ減ったAが､空中に指で何かを描きながら彼女に近づいて行く



『康一少年の様に《しっかりと犯人探しを宣言する》でもなく

岸辺少年の様に《考えに考えた結果､楽になれる方法を明確に伝える》訳でもないですが…


┄"今は､これが俺の精一杯です"』



空中に描かれた花らしきものが､ぼんやりと光を放った



『上書きする百面相(オーバーライト)









┄《保存(セーブ)》』





呟いた直後

彼の手には､透明のセロファンに包まれた1輪の鈴蘭が出現した



Aがキツく目を閉じ眉間に皺を寄せ､深呼吸をしてからゆっくりと目を開けて喋り出す



『鈴美さん､貴方は故人である(･････)
それは変えようのない事実である事は確かです



┄でも

今の貴方に仏花なんて似合わない(･･･････････････)のも…また事実､ですね



"口だけ"…そう思われても仕方ないですが

貴方の話を聞いて【犯人】を止めないと､そう思いました



だけど､それは簡単なことじゃあない



…貴方の事を思うと
変に期待させる(･･･････)のも､ハッキリと断る(･･･････)事も俺には出来ません(････････)



┄だから､これ(鈴蘭)が今の俺の気持ちです』



徐々に透けていく彼女に鈴蘭を握らせ､困った様に苦笑いを浮かべる


彼女が自らの手の中にある鈴蘭をじっと見つめて､微笑んだ



鈴｢流石お花屋さんね…"花言葉"は全て覚えてるって感じ｣



彼が贈った鈴蘭の意味(花言葉)を知っているのか

鈴美はそんな言葉を呟いてから､一連の流れを見ていた2人にも向かって話し出した



鈴｢何か､あたしに聞きたい事がある時は…何時でもここに来てね…

何時でも会えるわ
露伴ちゃんに､康一くん…









┄そして"誰よりも心優しい､Aちゃん"



話を聞いてくれて…心から感謝するわ…｣



その言葉を最後に

鈴美はアーノルドと鈴蘭と共に､その場から姿を消したのであった…

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