幸福の怪人百面相 4【男主】

181話 ページ35

鈴｢あら､懐かしいの持ってるのね?
ﾌﾌ…じゃあ苺を貰おうかしら｣


『仕事で車を運転するので､居眠り防止に鞄に入れてるんですよ

苺､安定して美味しいですよね…どうぞ』



小袋に包まれた昔ながらのフルーツ味メインの内､苺が描かれた飴玉を彼女に手渡す


飴を受け取った直ぐに､鈴美はポッキーの箱をずいっと目の前に差し出す



鈴｢運転しながら食べたら､幸せ一杯になって余計眠くなっちゃいそうだけど

ほら､花屋さんも食べて食べて｣


『俺はお客様の元に配達する前に､多幸感によって自然と笑顔になれるから良いと思いますけどね…

って､1本だけ…1本だけで良いですからｯ!!』



それなりに外見の良い2人のやり取りを後ろから眺める2人は､思わず毒気を抜かれてしまった



岸｢悔しいが…それなりに絵になるな､あの女｣


康｢そ､そうですね…
Aさんに至っては､性格とか口調とか…内面自体良いから余計にそう見えますよ｣



後ろで会話する2人の声に気付き､Aは肩越しに振り返って声を掛ける



『岸辺先生､康一少年
2人も良ければどうぞ』



いつもの調子で微笑む彼を見て


露伴は"青林檎"を

康一は"ブルーベリー"を1つ､手に取った



鈴｢じゃあ､2人にもポッキーあげるわ｣



自らの口に1本運びつつ､箱を康一達の前に差し出した


しかしまだ警戒してるのか､それとも本当に要らないのか…


2人は静かに首を振った



鈴｢要らないの?
じゃあ〜…試しにそっちの端を持って!｣



口に運ぼうとしたポッキーを､露伴の前に差し出しそう指示をする


疑問に思いながらも､露伴はチョコのかかった先端を軽く持つ





┄ﾎﾟｷｨｯ





鈴｢あっあ〜♪
貴方､女の子に振られるわよっ｣



3分の2程の長さになったポッキーを顔に近付け､少々茶化すような声色でそう言った



岸｢……

何だ､この女…｣



目を伏せて､不快そうな顔付きになる



鈴｢《ポッキー占い》よ
占い､信じる?折れた感じで占うの…


┄貴方､我儘でしょう?
それも結構人を引っ掻き回す性格ね､振られる原因はそれよ｣



彼女の言葉を聞いた露伴は､妙に興奮した笑顔を浮かべて声高らかに反論を始める



岸｢《ポッキー占い》だァ?
聞いたか?康一くん…全然当たってないよなぁ〜､僕が我儘だってさ!?

それに"人を引っ掻き回す"と言えば､どちらかと言うと君の隣に居る紳士(････････)の方が当たっているぜ



1時間…否､30分一緒に居れば嫌でも分かるさ｣

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