第37話 命令 ページ39
「お兄様。今、大丈夫ですか?」
「ああ。どうした?」
風呂上がりから帰宅するなり、挨拶もそこそこに二階に上がったAを横目に、シュナが浮かない顔で相談してきた。
「しばらく、Aの事を観察していて欲しいのです」
「Aを?」
「若様。オラからもお願いするだよ。今日のA様は、様子が
導き出される答えは、ただ一つ。
「また先祖絡みか」
シュークリームの一件から、Aの父親に関する話題を
俺は、三つの規則を制定した主に感謝している。そうでなければ、あの場で流血沙汰になっていただろう。
「本人は普段通りに振る舞われとるが、あまりの気迫に、オラ、
「そうか…」
重大な問題を抱えても、それを『大丈夫』の一言で片付け、少しでもその領域に土足で踏みこめば、ソウエイでさえ拒絶する。
「わかった。最悪の事態にならないように、俺が見張っていよう」
「ありがとうございます、お兄様。でも、私達も見守りますからね」
一番彼女の気心を知った上で思い入れがあるのは、他の誰でもないシュナだ。だから、万が一の事が起きるのを嫌う。
結論が出たところで別れ、就寝の準備をするために自室へ向かった。
朝稽古に向かう道中、俺は、そよ風で乱れた御空色の髪をざっと適当に手
「A。話がある」
「はい。なんでしょう?」
少し立ち話をしても、まだ稽古の開始時間には十分余裕がある。
そう
「今後、精神的に
立場を利用して命令すれば、気軽に話せなくなるだけでなく、
「わかりました。善処します」
「嗚呼。それじゃ、今日の手合わせもよろしくな」
「ええ、望むところです。若様」
互いの拳を軽く付き合わせ、どちらともなく微笑んで、並んで歩き出した。
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竜胆(プロフ) - 200回の投票を頂き、ありがとうございます。 (2023年3月8日 19時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - お気に入りに入れて下さる方が、再び400人に到達! ありがとうございます。更新できるように頑張ります。 (2020年2月2日 21時) (レス) id: ce36bc58b0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 瑠亜@影月さん» 瑠亜@影月さん、コメントと応援ありがとうございます。心変わりしてしまうほどとは(笑)もう話が一杯になったので、ただいま続編に向けて考案中です。更新できるよう頑張ります! (2019年5月13日 1時) (レス) id: ce36bc58b0 (このIDを非表示/違反報告)
瑠亜@影月 - 私はソウエイが推しキャラだったんですが、若様に心変わりしてしまいそうです(笑)これも竜胆さんの文才の力ですね!これからも更新頑張ってください! (2019年5月12日 21時) (レス) id: 9b9cc1c6b7 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 紫癸さん» 紫癸さん、コメントと応援ありがとうございます。お褒めの言葉も重ねて感謝します。ただいまコミック版最新話の展開を待機している状態なので、もうしばらくお待ち下さい。必ず更新します。 (2019年4月11日 22時) (レス) id: ce36bc58b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竜胆 | 作成日時:2018年12月1日 1時