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「ん?どうした?立てねーのか?」
「あ、いえ...」
お姉ちゃんどんな顔するかな、気にかけてくれちゃうかな。栗色の男の子気になるな。
いっぱいいっぱい頭の中をグルグルする。
背を向けて少し先を歩く栗頭を追いかける。
「あの、あなたは...?」
本当はもっと饒舌に話したい。こんな、こんな話し方したくない。もっとやまとなでしこみたいな...
「俺は、真選組一番隊隊長沖田総悟。アンタは?」
「私は、Aです」
「フルネームで言ってほしいんでぃ」
Aに興味を持ってくれたのか、便宜上聞いているのか分からないが、なんとなく嬉しく思った。
「名字はないです。というか、知らないんです。」
「もしかして、アンタ、吉原の遊女ですかぃ?」
核をやられた気がした。
一番聞いてほしくないとこを聞かれてしまった。
私は、遊女として売れている方ではあるけれど、決して遊女であることを誇らしく思ったことはない。
よりによって、ちょっとだけ気になってる人に聞かれるなんて最悪だった。
「...はい」
しょぼくれるAを他所に特に驚くでもなく真顔で会話を続けていく。
「歳は?」
「16です」
なんだか尋問みたい。悪い事をしたわけでもないのに。
こんな仕事の一貫みたいな聞き方はされたくなかった。
だけど、やっぱり沖田さんのこともなんだか知りたい。
だって歳が近そうだから。近そうなのに全然違う人種に見えた。
「沖田さんは?」
「18」
素っ気ない返事ではあるのに、嬉しかった。やっぱり歳が近い。
「歳が近いですね!私の周りには歳が離れてる遊女ばかりで、歳の近い知り合いや友達はいないんです。沖田さんが始めてで、嬉し...」
いきなり、何言ってんだろ。
そもそも、私、こんな、嬉しいとか、楽しいとか、もっと言えば、好きとか、思った通りに言える性格じゃないじゃない。
あ、遊女としての癖かな。お客を立てる、喜ばせる、遊女としての癖。
そ、そうよ。私がこんなぶっきらぼうな人をほんとに好きになるなんてことはない。
...気になることはあっても、ね。
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aina♪(プロフ) - りんごさん» 分かるー!!こんなの読んでくれてありがとー!(´;ω;`)いや、私がほしいくらい、恥ずかしいよこれで高校生とか笑読んでくれてありがとー!(〃'▽'〃) (2018年8月10日 21時) (レス) id: 7f277c8298 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - ぬんだよ!(わかるかな…?笑)文才が羨ましいっ!!! (2018年8月10日 20時) (レス) id: ce5d2ffd0b (このIDを非表示/違反報告)
aina♪(プロフ) - 千鳥さん» コメントありがとー!(*/ω\*)キャー!!夢主が可愛いなんて初めて言われたから嬉しい!(*´ω`*)糧になりました!笑ありがとー!(≧∇≦) (2018年6月4日 20時) (レス) id: 7f277c8298 (このIDを非表示/違反報告)
千鳥(プロフ) - すごく面白いですね!!妹キャラとか私大好きなんですよ。夢主ちゃんがもう可愛くて仕方がありませんでした!!こんな可愛い子が書けるなんて羨ましいです! (2018年6月4日 20時) (レス) id: 10b72e2d66 (このIDを非表示/違反報告)
aina♪(プロフ) - 夜空 星月さん» ご指摘ありがとうございます!(о´∀`о)とんでもない間違いを、、、(T-T)本当にありがとうございましたm(_ _)m読んでくださってありがとうございます♪ (2018年5月3日 23時) (レス) id: e5c272c8e4 (このIDを非表示/違反報告)
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