北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ10)

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59話ページ10

鯉登少尉が再び棒に登り、僕も同じく登ると

他の芸人なのか、女性の黄色い声がした

長吉「観客に向かってキスを投げてください」

鯉登「キスを投げるとは？」

長吉「投げ接吻です、海外ではうけるんですよ」

鯉登「チュッ」

「きゃああ♡」

いとも簡単にやってのけた

長吉「Aさんも！」

『えっ…ええ…』

長吉「当日は男性役なので！お願いします！」

恥ずかしくてできないぞ…

鯉登「A」

『はい？』

鯉登「私に向かってやれ」

『え？』

鯉登「その方が緊張しないだろう」

『……その方が緊張します』

鯉登「どう言う意味だ」

『………ﾁｭｯ』

鯉登「！」

『鯉登少尉！？』

「大丈夫か！？」

僕が投げ接吻をしたばかりに
鯉登少尉が棒から落ちた

僕もすぐに降りて駆け寄る

『すみません、あまりにも酷い物でした、すみません！！』

鯉登「……私に向かって投げ接吻を一日一回はしてくれ」

『………無理です』

各々練習を重ねて(僕は主に投げ接吻)いよいよ本番

『杉元』

杉元「どうした？」

『アシㇼパさんに届くといいな』

杉元「届くさ、そのために練習したんだ」

『頑張ろう』

杉元「樺太公演、開幕だ！！」

***
山田さんが客に挨拶を済ませ、公演は始まった

長吉の軽業で始まりいよいよ僕と鯉登少尉の番だ

棒に登り、傘を開いて観客に投げ接吻をして見せる鯉登少尉

男装をした僕も同じように投げ接吻

観客の女子から黄色い声が上がった

成功したのだろうか

下を見ると谷垣と月島さんが踊ってる

上手く踊れてるじゃん谷垣
練習の甲斐あったな

山田「お次は鯉登音之進、黒澤Aの坂綱でございます！」

僕と鯉登少尉が坂のように斜めになっている綱を端から登り進める

鯉登「あれは！私が大切にしている鶴見中尉のお写真！なんで！こんな！ところに！！」

『え！？鯉登少尉！！』

鯉登「キエエエ！！」

何故だか綱の上に乗ってた鶴見中尉の写真が落ちてしまい、それを追って鯉登少尉も落ちていった

奇声を上げながら、いろんな芸の邪魔をしつつ

それでも芸を見せながら写真を追いかける鯉登少尉

地面に着地した瞬間

歓声が上がった

裏に戻ると、鯉登少尉と月島さんが話している

写真を置いた犯人は月島さんらしい
鯉登少尉は杉元がやったと思っていた

鯉登「まずい！仕返しに手品の刀の刀身を私の軍刀のものとすり替えた！」

『え！？本当ですか！？』