北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ42)

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過去編4 ページ42

僕は軍に入ってからずっと杉元と相部屋だった

初めて会った時は女だって気づかれるまでが早かったな

『消灯時間だ、消すぞ』

杉元「うん」

僕たちはそれぞれベッドに入る

『おやすみ杉元』

杉元「おやすみ」

就寝の挨拶を交わした

1時間は経った

何か物音がした気がしてすぐに目を開く

杉元の寝息が聞こえる

「……」

「………」

扉の外で何か音がする

僕は音を立てないようにベッドから出た

掛け布団の下に枕を忍ばせ、変わり身を作る
そのままベッドの下に身を潜めた

直後扉が開く

「静かにしろ」

バレバレだ

足跡の数は二つ

昼間の男どもだな

仕返しをしに来たんだ

男二人は僕のベッドをタコ殴りにしてる

「ﾊｱ…ﾊｱ…どうだ…」

ベッドの下から足を回して

男二人の足を掛けて転ばせる

「！」

「なっ！」

『夜な夜な仕返しなんて、女でもしないぞ』

ベッドの下から這いずり出て立ち上がる

『喧嘩なら正面から来い』

「テメェ今度こそ半殺しだ！」

啖呵を切った男の首を

後ろの男が締めた

「！？」

杉元「寝込みを襲うなんて、随分卑怯だな」

「離せ！！」

もう一人の男が杉元に殴りかかる

杉元が首を絞めていた男を、殴りかかってきた男に投げた

「うわ！」

「ゲホッ…杉元は起こすなって言っただろ！」

「お前が騒いだからだ！」

『仲間割れなら外でやってくれ、就寝時間はとっくに過ぎてるんだ』

杉元「今度Aの前に現れてみろ、俺が殺してやる」

「ひっ…ひぃ！」

「いくぞ！」

慌てて二人は出て行った

『どれだけ怖い顔で睨んだんだ？』

杉元「いつも俺を起こせって言ってるだろ？」

『悪い悪い、アイツらの狙いは僕だったし…杉元に迷惑かけたくないし』

杉元「迷惑だなんて思ったことねえよ！」

『ありがとう、でもあと少しの辛抱だ』

杉元「……」

『明日も早いしもう寝よう。起こして悪かったな』

杉元「……おやすみ」

寂しそうな笑顔でそう告げた杉元

僕はベッドに入って目を閉じた