北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ33)

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82話ページ33

『兄様』

「なんだA」

『どうです、兄様！真ん中に当たってます』

「さすが私の妹だ」

『兄様、待ってください』

「では手を繋いで帰ろう」

『私を一人にしないでください』

「一人になどしない」

『私も連れて行ってください、兄様！』

「お前にはまだ早い」

『兄様、お許しください…』

「それで…いいんだ、A」

『！』

夢が覚めた

周りを見渡すとまだ寝ているアシㇼパさんと白石

杉元「おはよう」

『おっ…おはよう…』

杉元「怖い夢でもみた？」

『…ううん、昔のこと』

杉元「お兄さんのこと？」

『うん、たまに夢で出てくるんだ…おかしいよな、僕が殺したのに』

杉元「アシㇼパさんが言ってたんだけど、夢はカムイが見せてくれてるものなんだって」

『見せてくれてる？』

杉元「……きっとカムイは、Aのお兄さんと話す機会をくれているんじゃないかな」

『…今度あったら、話してみる』

杉元「それがいいよ」

アシ「ふがっ！」

鼻提灯を出していたアシㇼパさんが起きた

アシ「オソマ行ってくる」

杉元「ちょっとアシㇼパさん、お下品だよ！」

各々身支度を整えてチセを出る間際

アイヌの主人から砂金が取れる川があるという話を聞いた

「カネが欲しけりゃウェンカムイに見つからないように砂金を採ったらいい、そいつは一日50円は稼いだとかなんとか…」

杉元と白石がわかりやすく反応した

その話をもとに、例の川まで歩いていくと助けを呼ぶ声

平太「だれか！助けて！だめだ…落ちる！もう…だめだ！」

杉元「！」

アシ「間に合った…」

崖から落ちそうになっていた男を助けた

平太「ありがとうございます、助かりました」

杉元「傷出来てるけど大丈夫か？」

平太「あ、これは…ちょっと前のものなので…(優しい)」

どうやら彼はハクというものを川から取っているらしい
それは砂白金と呼ばれるもので一匁三円だそう

杉元と白石はその話を聞いてお互いの手を握った