北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ7)

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56話ページ7

『杉元』

杉元「ああ、アシㇼパさんは俺たちを信じてくれている」

優しい顔で笑った杉元

杉元「てか」

『？』

杉元「何平然とした顔で入ってんの」

『いいだろ、寒いんだから』

杉元「……そうだけど」

『僕が入ってちゃ悪いのか？』

杉元の胸板を拳でど突く

『痛っ…』

杉元「え？俺が殴られたのに？」

さっき杉元に斬られた傷が地味に痛んだ

鯉登「先程貴様に斬られたのだ、Aも私も」

杉元「え！？大丈夫か！？」

『大丈夫、大したことないよ』

鯉登「大丈夫なわけないだろう、Aの綺麗な肌に傷をつけたんだ」

鯉登少尉が僕の後ろに回り込んで
僕の腕を持って杉元に見せた

『鯉登少尉、あまり近づかないでください』

鯉登「何？」

『その…恥ずかしいので…///』

鯉登「！…すまん配慮が足りなかった//！！」

杉元「いい感じになってんなよボンボンが！…ごめんねA、傷つけちゃって」

杉元が鯉登少尉を押して僕から切り離し
僕の腕を持ち上げる

『気にするな、あの時は杉元も正気じゃなかったんだ』

杉元「……」

しゅんとしてる…

『そろそろ出て、アシㇼパさんを追わないとだな』

杉元「そうだな、行こう」

蒸し風呂から出て各々身支度をする

気づけば日が昇っていた

岩息「ダスヴィダーニャ」

月島さんが岩息にロシア語で何か伝えた

岩息「ロシア語がお上手ですな、今のは何と？」

月島「日本に戻ってきたら頭をぶち抜いて殺すと言ったんだ。しばらく日本には帰れないぞ。死んだ気になってロシア語を勉強するんだな」

じゃあ、と言うように手を振って岩息と別れた

変な男だった

鯉登「鶴見中尉の判断を仰がずに逃がしてよかったのか？」

月島「すべて私に任されています。当然お前の処遇もだぞ、杉元」

『……』

月島「また同じようになった時は容赦しない、次は殺す。自分を制御できなければいつか取り返しのつかないことになる」

『待ってください！次にああなっても僕が止めて見せます』

月島「……責任を持って止めろ」

『ありがとうございます』

月島さんの顔が暗かった

***
杉元「今日はこの樺太アイヌの村に滞在しよう」

鯉登「もっと移動すれば豊原という樺太で一番大きな街があるんだろう？立派な旅館があるだろうにな…」

月島「豊原は明日寄って行きましょう、色々買い物もありますからね」

『アイヌの村も充分寝心地いいですよ』

鯉登「Aが言うなら…」

月島さんがこちらに向かって親指を立てた