76話 ページ27
屋根の上で双眼鏡を覗く
うん、よく見える
僕はアシㇼパさんの意見を尊重したい
このまま彼女が船に乗るのであれば
僕はもう何も言わない
だけどアシㇼパさんは…
アシㇼパさんなら…
鶴見「よし！アシㇼパを駆逐艦へ！！杉元と白石は明朝の連絡船に乗り、稚内で待機していろ！」
鶴見中尉の声が聞こえた
やっぱりアシㇼパさんと杉元たちは引き離されるのか
鶴見中尉は手拭いを額に当てている
脳汁が溢れているんだ
双眼鏡の先で
アシㇼパさんが大量の矢を空に放った
杉元「毒矢だ！！かすっただけでも死ぬぞ！！」
全員がギリギリで避けた
僕は弾倉に弾を込める
杉元たちが走り出したのを合図に追う兵士の足を撃ち抜いた
ドン…
ジャキィィン
ドン…
ジャキィィン
兵士が怯んだ隙に杉元たちが建物に入っていった
5人狙撃したところで杉元たちを追うために屋根から降りる
「いたぞ！狙撃手だ！！」
「撃て！！」
もう回り込まれていた
走りながら弾を込めて遊底を引く
一度に連続して撃てるのは5人
ちょうど馬橇が目の前を通った
『その馬！貸してくれ！！』
「はあ！？何するんだ！」
馬橇の紐を銃剣で切り離す
『撃つぞ、離れろ！』
「……」
手を上げて離れる馬主
『申し訳ない、ありがとう』
馬に乗って走る
港沿いの通りに出た
谷垣「こっちだ！A！」
白石「こっちにこい！」
『谷垣！白石！』
白石「俺とアシㇼパちゃんしか聞いてねえ船の話があるんだ！それにのって逃げる気だぜ！」
『白石！乗れ！』
白石「ほっ！」
ロシア狙撃手の頭巾ちゃんの馬に杉元とアシㇼパさんを乗せて走ってきた
白石「アシㇼパちゃん！やっぱり思ったとおりだぜ！」
谷垣「おい待て！」
アシ「谷垣まで来るな！インカㇻマッは鶴見中尉のとこにいるんだろ！」
谷垣「鶴見中尉たちはお前の村を監視するはずだ！戻れないぞ！」
『…アシㇼパさん』
アシ「…私が、フチにまた会う夢を見たと伝えて！フチは信じて安心するかもしれないから！必ず会いに戻る！そう伝えて！」
白石「達者でな！谷垣源次郎！」
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作者名：八咫烏 | 作成日時：2022年4月21日 14時
