【歌い手】期待して損した。

★ ページ19

そらる｢えっと……まず何から話したら良いのか……。｣


目にタオルをあてながら考え込むそらるさん。


そして話す内容が固まったのかすぅ、と深呼吸して私を見つめる。




そらる｢前回皆でライブしたとき、niconicoの人いっぱい来てたでしょ？

その中にあいつがいて、ライブ後に俺だけ呼ばれたんだよね。｣






最初は自分の娘がいつまでたっても独り立ちしそうにないので、親元を離れ、私達のシェアハウスに移住させて娘の将来１人で暮らしていく手伝いをしてほしいと言われたそうだ。




表面は娘想いな親だろうが、普通に考えれば親戚の家などでも出来ることをなぜそらるさんに頼んだのか疑問に思う。



そらるさん自身もそう思っていたらしく、そのときは丁重にお断りしたらしい。




まぁいくらniconicoのお偉いさんの娘だとしてもこちらからすれば赤の他人だし、当たり前の対応だろう。




そらる｢そのときはそれで済んだんだけど、１カ月後にまた電話がかかってきて、どうにかして娘を住まわしてやってくれないかって言われた。｣




そらるさんはせめて、自分達のリスナーでなければ………と妥協した。



リスナーであるかどうか聞くと、｢多分違うと思うよ。｣と結構雑な返答だったため、このときもお断りをしたらしい。







だが、１カ月に１回、２週間に１回、５日に１回、とそいつから連絡が来るようになった。

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