Cor Leonis et Mare (ページ9)

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6＿舞咲優陽ページ9

それに安堵するのは、Aだけではなかった。
ヴォルデモートの最も近くに腰かける3人が、そっと息をついていた。

｢そこに座れ。エルフィーの横だ。｣

先述の''3人''とは、ラピスラズリ家の3人であり、一先ずは、娘...妹が、出会い頭に殺される、何てことは避けられたからだ。

｢して、明日からのホグワーツ生活はどうだ？｣
｢この1月ほど予習をしましたので、1年生の学習要領は済みました。間違っても...穢れた血などには負けぬよう、将来あなた様に仕える者として恥じぬよう、7年間精一杯過ごさせて参ります。｣

模範解答のような答えだが、それこそが彼女の本心であり、望みだった。

｢...では、穢れた血について。お前の考えを聞きたい。｣

その問いに、Aは緩やかに頭を傾げた。

しかしその表情には、はっきりと嫌悪が浮かんでいる。

｢...必要ないと思いますわ。マグルなど、何をすることもできない無能ですもの。そこから生まれた魔法使いも、役立たずに決まっていますわ。...ですが、｣

Aは言葉を切った。

｢ですが、もしも優秀な穢れた血がいるのなら、利用すれば良いだけ、と思います。どうせマグル界での爪弾き者。魔法界でも差別される。あら、彼らに居場所はないではありませんか。お可哀想に。｣

と言いつつ、ちっとも憐れんでなどいない嘲笑を浮かべる。

｢彼らは死んでも魔法界に居たがる。ならば利用してやればいい。反発したら殺せばいい。...と、私は今まで思って参りました。｣

小さな赤い唇が、そんな恐ろしい言葉を紡いだ。

周囲の死喰い人達は、美しい少女の恐ろしさに目を見開き、再びざわめきだした。

｢ふっ...くく、っく...｣

ヴォルデモートが心底可笑しそうに笑いだすと、死喰い人達はまた口を閉じた。
広いその部屋に、彼の笑い声だけが響く。

そして、気が済むまで笑うと、ヴォルデモート''卿''は言った。

｢お前は俺様の、良き下僕になれる。｣

｢恐悦至極に存じます、我が君。｣

ヴォルデモートのその言葉で、Aはヴォルデモートを｢我が君｣と呼ぶ権利が与えられた。

Aの口は美しく弧を描いた。