Cor Leonis et Mare (ページ41)

今日:7 hit、昨日:15 hit、合計:34,457 hit

38＿舞咲優陽ページ41

｢な！｣

レンは目を剥いた。

｢っお前こそ！淑女の風上にも置けないな！お前みたいなじゃじゃ馬娘、誰が嫁に貰ってくれるって言うんだ！｣
｢...っ！｣

私は俯いた。

確かにその通りだわ。
こんな私なんて、レギュも嫌いなのかもしれない...

｢僕の許嫁です。｣

澄んだボーイソプラノが響いた。

｢A、遅いから探しましたよ。さぁ、行きましょう？｣

差し出される右手に一瞬迷うも、私は左手を絡ませた。

｢おいお前！誰だ！｣

レンは喚く。
自分を招待した相手の顔も知らないなんて馬鹿ね。

｢僕の名は、レギュラス・アークタルス・ブラック。｣

レギュの美しいパールグレーの瞳が、冷徹に瞬いた。

｢僕の部屋に行きましょう。良いですね？｣

有無を言わせぬ物言いは本当にシリウスと似ていた。

☆★☆

レギュの寝室。

｢心配、しましたよ。｣
｢...ごめんね、レギュ。ごめんなさい。｣

レギュに抱きしめられ、パーティ独特の匂いとレギュの匂いが混ざりあう。

｢もう、あんなことはやめてください...｣
｢私、あなたの隣に居て良いのかしらって思ったわ...｣

｢え...？｣

｢...言われたの。『お前みたいなじゃじゃ馬娘、誰が嫁に貰ってくれるって言うんだ！』って。私はあなたの側にいて、良いのかしら...｣
｢(あの野郎...殺す。絶対殺す。末代まで呪い殺してやる...)良いんです。僕は、あなたを愛していますから。あなたは素晴らしい女性です。むしろ...僕には勿体ないくらい。｣
｢っでも私は手を上げた！淑女がすることじゃないわ！やっぱり私｢A。｣

レギュは私の頬に手を添えた。
レンはあんなに気持ち悪かったのに。

｢...僕の言葉より、あいつの言葉を信じるんですか？｣

悲しそうに言うレギュ。

｢...私っ、そんなつもりじゃ！｣
｢もう、良いです。｣
｢レギュ！そうじゃないの！ごめんなさい！そうじゃないのよ！｣

｢...なら、発言を訂正しますか？誓いますか？2度と、自分を卑下したような発言はしないと。｣

｢誓うわ。もう2度とあんなことは言わない。誰に何を言われようが気にしないわ。私は、レギュの、あなたの許嫁だもの。A・ラピスラズリの名に誓って。｣

そう言うと、レギュは再び抱きつき、私の頬にキスをした。

(｢まぁその誓いは、僕が卒業したら無効になるんですが。｣)
(｢...どういうこと？｣)
(｢だってあなたは、A・ブラックになるんですから。｣)
(｢っ！｣)

その後、ラミレスと言う名の家は消えた。