検索窓
今日:14 hit、昨日:3 hit、合計:8,095 hit

41色目 変態色の同胞 ページ46

朦朧とする意識、何かを管で注入されている太もも、拘束された手足に、疼く瞳。

それらに耐えながら、宇流は目の前の蒼李を睨み付けた。

穹さんたちを逃がすために囮になったことに後悔は無い。

だが、穹たちが逃げた直後、蒼李らは皆を追わず宇流だけを捕獲した。

連れてこられた研究所らしき場所は、ヒヤリと冷たい。

なぜ私を捕獲したのか。それだけ、解せない。

「……まさかお前が残るとはな、願ったり叶ったりだ」

「何のこと?」

こいつらに敬語など使いたくない、何時もより乱暴に聞く。

すると蒼李は宇流の顎を持ち上げ、瞳を見つめた。

宇流の水色の瞳に、蒼李の青の瞳だけが映る。彼は卑しく笑った。

「今までは基本“美花”目的だった。だが今回は違った。本当の狙いは、“緑のカラフルの代わりになれる者”」

「カラフルの代わり? 一体」

「カラフルは魂が純色の5つの魂。それらが全て集まれば“クレアシオン”が発動し、願いが叶う。
だが、どうしても緑のカラフルだけ見つからない。
そこで俺は考えた。緑のカラフルを、作ってしまえば良いと。
それが10年前の話だ。
……覚えはないか?」

宇流は素直に首を振る。

でも、何か私は知っている。そんな漠然としたものが頭の中にあった。

「10年前、幾人かの魔力能力の長けた子供が親に売られ、研究材料とされた。
その中でたった1人、“緑のカラフル”の欠片を身体に埋め込まれても拒否反応を起こさないものがいた」

蒼李は驚きを隠せない様子の宇流に「聡明なのは変わらずだ」と微笑み、耳元で囁いた。

「それが、“藤井宇流”。今回の目標だ」

「私が……。知らない、私はそんなもの」

「そうだろうな、なにせお前は緑のカラフルの能力“時縮”を使いこなし、自身の辛い記憶だけ消したのだから」

顎をそのまま弾かれ、宇流は音をたてながら床に滑りこんだ。

上から見下すように宇流を見る蒼李。

私は、私はこの光景を知っている

見下す蒼李。息絶えた美花。色を失った穹さん響輝さん、怜希。涙を流す想良さんに、頭を下げた逸那さん。

全て、思い出した。

謝る口が止まらない。それを見て蒼李は満足そうに笑い、宇流の頭に手を置いた。

「今から、お前に嫌な記憶を繋げる。全ての記憶を、消すが良い」

「嫌だっ!! 私は、美花を守る。そう“約束した”!!」

蒼李は「知らん」とだけ言い、記憶を宇流に流し込む。

声にならない断末魔をあげる宇流の瞳は緑に変わった。

41色目 変態色の同胞 2→←40色目 赤天の霹靂 3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.4/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
設定タグ:ソラリア学園 , オリジナル , ファンタジー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:宇流 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2016年4月1日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。