40色目 赤天の霹靂 ページ43
「私と逸那は陸哉の“願い”に従い、美花を守り続けた。このまま一緒にいれば蒼李に狙われ殺される。だから山に置いたんだ。
それからもずっと見守ってきた。ソラリア学園に特殊入学させてすぐ助けられるようにしていた。
でも蒼李たちがクレアシオンを諦めてなくて、美花は魂目当てで殺され、私と逸那は幾度もこの2年間を繰り返してきた……」
想良の話に、皆何も声を出せなかった。
話が、壮大で繊細すぎる。
ずっと狭かった世界が拓かれて、やりたいと思えたことをやって、友達に子供まで生まれたのに、いきなりどん底へ墜ちて。
想良の小さな体にはその過去と繰り返してきた分の重りがついて回っているのか。
検討もつかないし、聞いたところでイメージすらできないだろう。
駆乃が「師匠、」と手を上げる。
「その“繰り返し”って……?」
「厳密には繰り返しではない。私が平行世界(パラレルワールド)とこの世界にゲートを繋ぎ、そこから逸那の“時縮”で時を操作して、物質とゲートの関係で魂と心だけを送る。すると入った平行世界で魂が本人の体と同化するんだ
それを私たちは毎回“3月7日”に行い、2年前の2月辺りまで戻って……を繰り返してだな…」
「はいストップ。ついていけない頭パンクするー!!」
堪らず叫ぶ。だが誰も止めなかったのでおそらくはいきなりの情報量にねをあげたかった人がいた、ととっておく。
そのあとの話も合わせて穹さんが纏めてくれた。
とりあえずソーラと逸那さんは同じ時を私と響輝さんと穹さんを救うために繰り返してきたこと。数はなんと今回で30回目らしい。
そして救うために仲間が必要と判断し、彼女は瑠羽さん、サエさん、真白くんを特殊入学という形で学園に引き入れた。
前回はあと一歩、蒼李の繋樹に妨害されたが宇流と怜希をいれたことは最初に攻めてきていた紫苑さんたちの懐柔にやくだったという。
そして今回、蒼李の能力“繋樹”対策に駆乃に声をかけ、弟子にした。
蒼李は“カラーイーザ”による悲劇が起こらぬように“クレアシオン”を使い、魔法使いの魂の色を消すことを目的としていて、毎回失敗して人類を滅亡へ送っているらしい。
「美花は蒼李に殺され、穹と響輝も毎回蒼李の“魂の色を消すウィルス”である"魔焼粒子"にかかり死に、それが蒼李の体から発動され溢れて世界は滅びてきた。
だから私は“繋樹”で“世界が滅ぶ”ことと“とある条件”を繋げた。その条件さえ達成されなければ世界が滅びぬように」
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