39色目 孤軍奮闘性濃藍症候群 ページ38
「良いのか?」
「お? 何がだ」
逸那の問いに想良は小首を傾げ、艶やかな赤に染まっていた岩を“色変”で元の色に変えた。
学校の仕事が無くなった想良は蒼李に頼まれ、各地に発生し始めた“カラーイーザ”の対処に追われていた。
それは急速に頻度、大きさ共に増えてきていて、さすがに放れなくなってしまったらしい。
そこで危機感を覚えた瑠奈さん達からお達しがきた訳だ。
そのため色を変えれる能力の想良と、無かったことに出来る逸那が駆り出されたのだ。
想良の反応に逸那はたじろぎ、言いずらそうに首元のネックレスを弄くった。
「……美花、“コールドスリープ”させたんだってな」
「ああそれか、お前の娘もそうしたろ?」
想良の答えに逸那は唸る。
美花は無事陸哉のレプリカの中に入った。
陸哉のレプリカが顔や外見等を変えられ、ほぼ人間に近いもので良かった。
美花は女子だ。顔は女にし、目元は美花の母親に似せてやった。
決して気に入らない訳ではない。むしろ愛している。
だがそれは起動期日約90年後と決まっていた。
それが周囲に悟られぬよう、コールドスリープさせた。
「もしかして、美花の魂が陸哉の“黄色のカラフル”だったからか?」
「……陸哉は“クレアシオン”を発動させぬように言った。だから美花はまだ起こさない」
「でも」
「それに、最近“カラーイーザ”が増えすぎて人体にまで被害が来ているらしい。そこで美花を起こすわけにはいかない
人の“色”が原因と蒼李は言ってたがどうなのだかな」
「……その傷もカラーイーザの一種なのか?」
逸那に言われ、想良は自身の右腕の裏を見た。……“永遠の魔法”により魂を入れた時にできた青い鳥の形をした傷。
陸哉は足首に赤いもや、蒼李は首元に黄の花の形のものがある。
想良は首を振った。
「これは魂の色が体についただけらしい。決してカラーイーザでは……」
その後の言葉に、想良自身が驚いた。
あれ、まさか……
「逸那、今現在判明しているカラーイーザの出現理由は?」
「人の感情が強く揺らいだとき……と聞いているが?」
「その時の回りに溢れた色、まさかそいつの“魂の色”と合致してたりは?」
「……ぁ」
やっと逸那の中でも想良と同じ考えが浮かんだらしい。
2人は残りのカラーイーザを速攻で戻すと、蒼李の研究所へ急いだ。
“カラーイーザの原因は、魔法使いの魂の色にあり”これを伝える為に。
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