願いの愛し子と緑の剣【ソラリア学園魔法科】 (ページ32)

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38色目　花の中の百緑ページ32

想良が学校を作りしばらくたったころ。いまだに王を続けている瑠奈さんからカラフルの5人へ召集がかけられた。

当時彼等と瑠奈はよく会い、個人や２、３人で召集が掛けられることは多々あったが、カラフル全員なんて初めてだった。

やはりというか、陸哉は事前に能力“色視”で事の全てを知っていたので、説明は呼びに来た瑠奈さんの従者からではなく陸哉から話された。

揺れもなく進む、広々とした下の世界でいう“ひこうき”に羽をとったような魔法車で茶を啜る。

｢今向かってるのは……そう。俺と逸那の故郷である“早坂家”の集落の外れ。ここまで言えば逸那は解るだろ？｣

｢はい｣逸那は茶を台に置き、凛と前を向いた。

｢俺の家、“言無家”は代々“早坂家への奉公”か“自身の献上”をしているんだ。
俺は陸哉の従者として“奉公”する傍ら軍に属し、武器を作ることを趣味としていた。
……で、今回その武器が認められ、“魂武器”に使われることとなった……｣

｢説明、これでよろしいかな主様｣と最後にお伺いをたてられ、陸哉は頷いた。

｢“魂武器”って……あれかな、人を武器に封印して使う……｣

｢お、正解｣

聞いたのは晶だ。

晶は以前逸那と初めて想良たちに会ったときはびくびくしていたが、今ではただの人見知りだと発覚しているため、皆と普通に話せている。

彼女は逸那と恋仲にあり、陸哉に頼んで自分らの子まで作っていた。

それほど仲が良いのだから、当然“魂武器”の話も知っていたので想良への説明を買って出た。

｢えぇと、能力や魔力に秀でた人を少し特殊な製法の武器に封印するの。そうすればその武器は普通の物と段違いに強くなるんだ……今回の武器、何だっけ｣

晶の質問に逸那は答えた。

今回は4つの武器に人が封印されるらしい。

つまり、４人が死ぬ。しかもその４人は逸那の友人２人と逸那の姉妹だという。

“紫雨色彩”という日本刀には“喜春真綾”が。

“勿忘草”という双刀には“楽冬星夜”が。

そして“紅桜”という日本刀と“子珀讃歌”というレイピアにはそれぞれ、逸那の妹の“言無子珀”、逸那の姉の“言無茜”が入ることとなっていた。

想良たちの任務は、それを視察することと。

そして最近至るところに現れた不可解な“色”の正体を突き止めることにあった。

その“色”は人が死ぬような場所に現れる事が多いが原因も理由も不明だった。