願いの愛し子と緑の剣【ソラリア学園魔法科】 (ページ31)

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37色目　鳩羽のルーン 5 ページ31

想良が学校を立ち上げた頃、蒼李たちと陸哉たちの研究も実を結び始めていた。

まず蒼李たちは“心を失う”ものと“命を失う”カラフルの複合魔法であり不老不死を得ると言われる“永遠の魔法”を理論的に完成させた。

それによって黄色、赤、青のカラフルがそれぞれ魂を削り色を分け与え合った。

陸哉は“赤のカラフル”を少々取り込み命をとてつもない速度で消費するように、

蒼李は“黄色のカラフル”を取り込み心をすぐ亡くすが不老不死に

想良は“青のカラフル”を取り込み不老不死だが命のコントロールが出来ず老婆と幼女をさ迷うようになった。

これにより彼らはカラフルの能力の他に、蒼李は陸哉の“色視”を、想良は蒼李の“繋樹”を、陸哉は想良の“色変”を本人には劣るが能力として使えるようになった。

そして陸哉の研究。彼は人の細胞を分裂、分化させることを魔法を用いて人工的に出来るようにした。

つまり、完璧なクローン作成である。陸哉はカラフルによって命を失う危険性のある想良と自分、あと試作として晶のクローン、“レプリカ”を作成した。

特に陸哉用の“クローン”は魂をストックしておけて顔も変えられ、人としてほぼ見た目、機能も遜色無い特別製だった。

陸哉は他にも、“心を失う”晶と逸那と蒼李の為に、“割ることで一時的に心を取り戻す”宝石も作った。

彼等はその宝石をペンダントとして大切にしていた。

それともうひとつ。

彼には子供がいた。

だが少々の都合で母親から取り出され、その胎児は陸哉の研究所の研究管の中で、陸哉自身によって育てられていた。

それより少し遅く、逸那と晶の子が未熟児として産まれた。

逸那と晶は、相思相愛のカップルだった。“カラフル”という鎖さえなければ結婚してただろう。

その子も陸哉の子と同じように育てられた。

ある日、想良が学校の責務を終えてから陸哉のもとへ向かった。

子の名前を考えて欲しい。そう陸哉に言われてたから。

そして、まだ胎児の彼の子を見て言う。性別は女だ。

｢名前どうしようか。候補がたくさんあるんだ。”琴音”、”成美”......”美花”。気に入ったのは？｣
彼は答えた。｢美花が良い。｣と。

どうやら彼の望みドンピシャだったようで、しばらく、陸哉は機嫌が良かった。

想良も幸せだった。

だがそれも“あの事件”によって、全て変わってしまった。

それを想良たちは、まだ、知らない。